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3章 知的要素の加わった物理現象

前章で紹介した物理現象を検討したかぎりでは、格別に超自然的な力のせいにすることはない――電気とか磁気、あるいはそれに類する流動的エネルギーの作用で片付くのではないかと思われるかも知れない。

確かに当初はそれが代表的な説であり、一応合理的であるかに思われていた。が、やがて、それでは十分でないことを示す事実が明らかとなった。その現象が知的なメッセージを伝達していることが分かったのである。

知的なメッセージなら、当然、知的存在が発しているはずである。となると、かりに電気や磁気のようなものが働いていることは認めるとしても、その奥では知的存在も係わっていることを認めねばならないことになる。

では、その知的存在とは何であろうか。

現象に知的要素が加わっていることの証拠としては、必ずしもその述べていることが雄弁であるとか、ウィットに富んでいるとか、高尚である必要はない。その動きが自在で自発的で何らかの意図がうかがわれ、まとまった考えを伝えたり、こちらの考えにまともな反応をすれば、それで十分である。

譬え話で説明しよう。風見鶏は風に吹かれて方向を右に左に変えるが、それが機械的な動きであることは誰でも知っている。が、もしその動きの中に意図的なもの、つまり何かを伝えようとする信号のようなものが読み取れたら――たとえば「右を向け」と命令したら右を向き、「左を向け」と命令したら左を向き、「ゆっくり動け」と言ったらゆっくりとなり、「速く動け」と言ったら速くなったとしたら――それは風見鶏そのものに知性があるのではなくて、何らかの知的存在によって風見鶏が操られていると考えてよいであろう。

テーブル現象についても全く同じことが言える。我々が見た例を挙げれば、いったん上昇したテーブルの四本の脚のうちのどれかが出席者の要求に従って床を叩く――どの脚で、何回、という細かい要求を出してもその通りにする。また部屋中をぐるぐる動き回るその途中で「右へ」「こんどは左へ」「前へ」「こんどは後ろへ」と命令すると、その通りに動いた。

テーブルの脚を使ってメッセージを伝える現象となると一段と知性の働きが顕著となる。一般に“叩音(ラップ)”と呼ばれているものにもいろんな種類があり、ドラムを叩くような音から一斉射撃のような物凄いもの、のこぎりでゴシゴシ切るような音、ハンマーで叩いているような音、誰でも知っている曲の楽器演奏まである。それだけでも十分に知的作用の証拠と言えるが、テーブルの脚が床を叩くその回数で符丁を取り決めて、質疑応答をやり取りするようになると、内容が完全に知的次元のものとなって、興味が一段と増してくる。

ところが、その知的反応をしているのは何ものなのかという問題になると、これまた、あきれるほど乱暴な説が出されてきた。

まず最初に出されたのは、当然のことながら霊媒か、質問を提出する者か、サークルのメンバーの知性の総合体のいずれかであるという説だった。が、その知性にはラップが伴うのである。そのラップは霊媒も質問者もサークルのメンバーも出していないことを確認するのは容易である。それが確認されると、では霊媒の想念体であろうということになった。

しかし、霊媒の想念体がテーブルに反応して音を出したり部屋中を動き回らせるという発想は、もはや現象そのものよりも奇っ怪である。しかもアルファベットを符丁にしてメッセージを受け取ってみると、その言語が霊媒も質問者もサークルのメンバーも知らないものである場合があるのである。

伝えられるメッセージの内容も、霊媒を始め出席者の誰一人として知らないことである場合もある。一例を挙げると、こんな話があった。

フランス海軍の軍艦がシナ海に停泊中のことである。将校を始めボーイまでが毎晩のように集まって交霊会を開き、テーブル現象を楽しんでいた。

ある日の交霊会で二年前に同艦の副艦長だったという人物からのメッセージが届けられた。それは、実は在世中に艦長からお金を借りたことがあるのだが、お返しできないまま死んでしまって申し訳なく思っている。済まないが幾ら幾らを払ってあげてくれないだろうか、という内容のもので、金額まできちんと述べた。

意外なメッセージにみんな戸惑った。霊媒や出席者はむろんのこと、当の艦長までがそんな記憶はないというのである。そこで念のために艦長が古い出納簿を調べてみたところ、確かにその通りの事実が記載されており、額まで一致していた。

想念体の反射説を唱える人は、これを誰の想念の反射と言いたいのであろうか。

テーブルラップによる通信は、このように最初は脚で床を叩くという原始的な方法で始まった。符丁も、一度叩けば「イエス」、二度叩けば「ノー」といった単純なものからアルファベットを使用するようになって、かなり内容の深い通信が交わされるようになったが、まわりくどくて手間が掛かった。

そのうち霊側から通信方法について提案が出されるようになり、小さなオモチャのテーブルを使ったり、俗にプランセット(ウィージャ盤とも)と呼ばれているものを使ったりした時期もあった。そして最後に自動書記と呼ばれる、霊媒の手または腕を道具として“綴る”ようになった。

その他に直接書記というのもあるが、それについては“霊界通信”の項で扱うことにしたい。

訳注――テーブル現象は複数の人間が参加するので比較的危険が少ないとされている。が、次章で霊団の最高統括霊の“聖(セント)ルイ”(十三世紀の名君ルイ九世)も述べているが、物理現象に携わるのは地上的波動から脱し切っていない低級霊であることはスピリチュアリズムの常識で、面白半分にやるのはやはり危険である。まして一人でやるプランセットや日本の“こっくりさん”などは発狂した例が少なくないという報告もあるので、絶対にやってはならない。

では、カルデックやスワッファーのサークルでは交霊会の初めにテーブル現象をよくやったのはなぜかと言えば、その交霊会の霊的磁場を強固なものにするためで、何の問題も生じなかったのは、その背後に高級霊団が控え、邪魔が入らないように万全の対策を講じていたからである。

しかも――これが一番肝心な点であるが――そうしたサークルには、いずれは地球人類全体にも及ぶであろう霊的使命があったことを見落してはならない。