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18.あの世の仕事

あの世の様子やそこの住人の外見を述べることが難しいなら、その人々が何をしているかを述べるのは、さらに難しいことである。

地上世界の大部分の人々は、衣食住のために働き、お金を稼いでいる。毎朝ベッドで目を覚まし、服を着て食事をすませ、仕事に行く。そして夜、服を脱いでベッドにもぐって寝る、といったことを繰り返している。また旅行をしたり、買い物に行ったり、テレビを見たりしながら、日々の生活を送っている。時にはそれが退屈になることもある。

しかしあの世では、寝ることも食べることもしなくていい。住まいはタダである。衣服を着たり場所の移動は、瞬く間になされてしまう。だから誰も生活のために働く必要はない。ではあの世の人々は、いったい何をして時を過ごしているのだろうか?

「こちらには工場はありません。電車も車もありません」とライオネル・バリモアは言っている。ジョージ・オールソンも「ここには工場はありません。鉄道も駅もありません」と言っている。アミー・ジョンソンは「飛行機はありません」と述べているし、ジョージ・ハリスも「私はこちらでタクシーを見たことがありません。誰も車を欲しいと思いません。なぜなら、行きたい所へはアッという間に行くことができるからです」と言っている。

またローズも次のように述べている。「私はイスに座って、フリントさんのサークルに行きたいと考えます。そして目を閉じます。すると次の瞬間、私は皆さんの所にいるのです。お金! こちらではお金では何も買えません」

「しかしあなたは確か、建築家に家を建ててもらうと言いましたが」とウッズは尋ねた。

「お金は払いません。彼はそれをするのが好きだからしてくれるのです。家を設計するのが好きなのです。その仕事が好きでしてくれるのです。それは音楽家がバイオリンを弾くのが好きなのと同じことです。彼は友人を楽しませることができたら幸せなのです」

「そちらの人々は何事もすべて“愛”のためにするのですか?」

「そうです。すべてを“愛”からします。また地上にいたとき音楽家や芸術家になりたかったのに、そのチャンスがなかった人は、こちらへきてからそれを実現することができます」

ジョージ・ハリスはまだそれほど進歩している霊ではなかったが、こうしたことについては、すでに知っていた。

「私たちは働きに行く必要はありません。地上のような仕事はこちらにはありません。ここではお金は何の意味も持ちません。お金は必要ではありません」

あの世には、家賃も食べ物の請求書も税金もないのである。

テッド・バットラーのガイドは、「今、母親は外出していて家にはいない」と言った。バットラーは尋ねた。

「あなたのお母さんは働きに行っているのですか?」

「そうです」とガイドは答えた。「それを仕事と呼んでも差し支えありません。私の母は地上時代とても働き者でした。いつも洗濯などいろいろな家事や仕事をしていました。今、母は子供たちの世話をする施設で働いています。母は子供たちが大好きでした。それで母は今こちらで、幼くして死んだ子供たちの成長の手助けをしているのです。母はその仕事がとても好きなのです」

ビッグスの母親は、姉のフロリーと一緒に住んでいることをビッグスに語ってから、彼を新しい住まいへ連れて行った。そこで母が言った。

「フロリーと私は病院で働いています」

「病院ですって!」

「あなたの知っているような地上の病院ではありません。しかし精神的に不安定で、指導と助けが必要なある人にとっては治療が必要なのです。そこでの仕事は楽しく、それをしているときは、とても幸せな気持ちになります」

マリー・イワンはあの世の病院で目を覚まし、姉の出迎えを受けた。彼女の夫はそこにはいなかった。マリーは言った。

「彼はそのとき別の離れた所にいました。後で分かったことですが、彼は特別な仕事をしていました。それはアフリカのどこかの戦争に関係した仕事でした……その戦争で傷つき死んだ人たちの世話をしていたのです」

アルフレッド・ヒギンスは、あの世で実用的な仕事に携わっていた。それは彼の地上時代の仕事と同じような仕事であった。

「他の人たちの住まいの世話をすること、そしてこちらへきたばかりの人々が落ち着く手助けをすること、彼らのために何かをしてあげることは、私には大きな喜びです。……私はここで、ささやかな人助けの仕事をしています。私は家の装飾もします」

ジョージ・ハリスは地上時代に大工をしていたが、彼もまた、あの世で同じ仕事をしていた。

「私は地上にいたとき大工をしていました。そして今、私はこの仕事にとても興味を持っています。私は自分の仕事が好きなのです。しかし、こちらの仕事は地上とはかなり違っています。こちらでも家を建てます。実在感のある堅い材料で家を造るのです。もちろんそれはお金のためにするのではありません。その仕事が好きだからするのです。それによって喜びと幸福感が得られるからするのです。

私は何人かの人たちから、そうした作業をするのは、こちらの世界にきて間もないためであると教えられました。まだこちらの世界に慣れていないために“家を建てる”という作業をするのだと言われました。彼らが言うところでは、もっと高い世界(界層)では、すべてのものは思念によって創り出されるということです。

私がいる世界では、家を建てるという作業を現実にするのです。そのための材料もありますし、それを用いて家を造るのです。私は実際に地上にあるのと同じ家をこちらで見てきました。ここの人々はただ座って何かを考えているだけ、ということではありません。それでは何の喜びも持てないでしょう。私はそんなことはイヤです。もし何かの目的に向けて努力すること、具体的に家を建てたり、働いたりということをしないなら本当の喜びも楽しみもないと思います」

「ジョージさん、あなたは家を建てるためのレンガをどのようにして手に入れるのですか?」とグリーンが質問した。

「こちらの人たちがつくるのです。またそのレンガを分けてくれる場所もあります。私たちはそこでレンガを手に入れるのです。そしてそれを用いて家を建てるのです」

「あなたは自分の決めた特定の人のために家を建てるのですか? それとも、どんな人たちのためにでもするのですか?」

「それは家を建てる人の考えいかんです。こちらには建築会社のようなものがあるわけではありません。私のいる世界について言えば、死んでここにきた人が、もし地上時代に専門職についていて、しかもそれが好きで喜びを持っていたなら、その人はこちらでも同じ仕事をするようになるということです。

ここには大工も装飾家も、またありとあらゆる職人が揃っています。地上時代に楽しんでしていたことは、何でもこちらの世界で引き続きできるのです。あなたがしたいと思うことは何でもすることができるのです。そしてそれは、あなたが“何か他のことをしたい”と思うときまで続きます。

私は地上時代に大工だった他の人たちの手助けをするとき、本当に幸せです。私たちは一緒に協力し合って家を建てるのです。私たちの建てる家は、地上と全く同じように実在感も堅さもあります。その中のある家はとても美しいです。もちろん私たちは、好意を持っている人や手助けをしてあげたいと思う人のために家を建ててあげるのです。こちらには家を建てる人―いわゆる建築家と呼ばれる人たちがいます。彼らは建物の大まかなところを造り上げます。私たちがそれを完成させるのです」

創造的作業(仕事)の重要性を確認するような通信が、思いがけなく進化レベルの高い霊から送られてきた。声の持ち主は「エリザベス・フライ」である。

「私たちがあるモノを考えるだけで、それが目の前に出現するというように考えてはいけません。あらゆる仕事が、さまざまな過程をへて行われるのです。ある人は材料をつくったり設計をしたりします。また偉大な芸術家は今でも立派な作品を描いています。なぜならそれは彼らにとって喜びだからです。しかもこちらには、地上よりずっと多くの色彩や色相があります。偉大な音楽家は立派な音楽を創作しています」

エリザベス・フライはあの世において、今でも優れた社会福祉活動をしている。

「私は皆さんが救済事業と呼んでいる仕事に携わっています。地上時代、自分たちの手におえない状況・環境によって社会に適合できなくなって、自分自身の生き方を見失った人々に手を差し伸べています」

あの世にいる偉大な芸術家たちは、今でも作品をつくり続けているようである。オスカー・ワイルドも以前と同様、演劇を書いているが、その彼は次のように語っている。

「ここにくると、ある者は別の仕事をしたいと思ったり、今までやってきたことは必要ないと考えるようになります。しかしある者は依然として同じ状態のままで、そうしたことを考えることもありません。私はものを書く仕事が好きで今でも続けています。なぜならもの書きは、私の人生そのものだからです」

ご存じライオネル・バリモアも、地上時代と同じように演劇に対する興味を持ち続けていた。それはハリウッドにいたときより、もっと強くなっているようである。

「私はいまだに演劇に興味があります。……シェークスピアのすべての作品はこちらでも上演されています。それらは今見ても面白いです。新しいものであればあるほど素晴らしくなり、地上のどんな演劇より優れています。彼は今でも演劇を書いていますし、彼自身が出演することもあります。スペンサーや他の偉大な作家たちも、みな同様です」

「私はシェークスピアに会ったことがあります」と「リリアン・ベイリス」(オールド・ビクトリア劇場の創始者)と名乗る声が語った。

「彼はまだ演劇をつくっていますか?」とウッズが聞いた。

「彼は地上時代と同じことをしています」

ピアニストの「フレデリック・ショパン」も、まだあの世でピアノを弾いていると語った。

「私はこちらで最初にピアノを弾いたとき、安心しました。私からピアノを取り去ったら、自分自身がなくなってしまうからです。私はこちらの世界でもピアノを弾くことができることが分かり、とても安心しました」

ルパート・ブルークも以前と同様、ものを書き続けている。彼はガイドの男性に、あの世でも、ものを書くことができるのかと尋ねた。

「もしあなたがそれを望むならできます。そして何か他のことをしたいと思うなら、それもできます。あなたが画家や音楽家になりたいと思うなら、こちらではそれを止めるものは何もありません。ここでは自分がしたいと思うことは、その通りにできるようになるのです。それは、人がこちらの世界で進歩するための唯一の方法です。あなたは自分自身でできることを通じて、自分を進化・向上させていくのです」

もしあの世の職種リストを見ることができるとするなら、最初にそれを開いたとき職種の数が地上より少ないことに気がつくはずである。あの世では人々は、どのような仕事・職業につくことも自由である。ただし地上時代に軍人だった者は、あの世では平和な仕事につくための訓練を受けなければならないだろう。軍人・船乗り・パイロットという職業は、あの世には存在しない。

地上のようなビジネスもない。当然、セールスマン・会計士・銀行員・店員・事務員という職業も存在しない。同様にあの世には工業・産業もないし、労働組合もない。会社の上司も流れ作業の労働者も、坑夫も波止場の労働者も、ドライバーも車掌もいない。おそらく機械工もいないであろう。

もしあなたが手仕事をしたいと思うなら、最も可能性のある仕事は、家を建てたり、装飾をしたり、絵を描いたり、庭の手入れをする仕事であろう。あの世には知的職業は数限りなく存在する。とりわけ建築設計士・精神治療士・看護婦・デザイナー・図書館員・教師、そして社会奉仕の分野の仕事には多くの人が参加することができるであろう。

また誰でも芸術家になることができる。能力があるにもかかわらず、地上でそれを発揮することができなかったり、他の事情で作家や音楽家や画家になることを断念した人々は、こちらでは思う存分、その能力を発揮することができるようになる。

もし仕事がつまらなくなったり重荷になったら、何もしないでじっとして過ごすこともできる(ちょうど暇を持て余す地上の紳士・淑女のように)。ただし、それはあなたが何もしないことに耐えられるなら、ということであるが……