当院で扱っている鍼灸治療法の紹介


このページでは、当院で治療の際に使っている鍼灸の治療法のことについて説明します。「初めて治療を受けられる方へ」のページ内容を受け継ぐ形になりますので、「初めて治療を受けられる方へ」のページをご覧になっていない方は、そちらを先にご覧ください。

1)低周波通電療法
鍼を刺した後、その鍼に電極をつなぎ、パルスジェネレーターという機械を用いて鍼を刺した局所に通電します。その結果、通電することにより、鍼を刺した局所の筋肉が一定のリズムで動き始めます。
痛みという症状は、痛みを起こす箇所が、冷えなどの環境的な原因や、打撲などの外力によるうっ血などで、その箇所の血流が一時的に悪化することによって起こり、その悪化が更に筋肉や骨などの体を支えている組織に栄養を与えることができない状態を促進させ、凝りや筋肉の硬結を生み出すことにもなります。
東洋医学的な考えの中に「通ぜざれば、すなわち痛む。」と言うものがありますが、それは上記したようなことを示しているのだと思います。このような血流が悪くなった状態を、低周波通電によって、筋肉を動かしてやることにより、痛みのある局所の血流の悪くなっている状態が改善されます。それにより痛みというものがなくなっていくのだと考えられます。故に腰痛や肩こりといった痛みを伴うほとんどの疾患は、低周波通電療法により、治癒または緩解する可能性が高いと思います。
また低周波通電療法で背部の兪穴(腎兪、大腸兪などの各内臓器官に対応する経穴、つぼの事)を中心に治療することによって、内臓諸器官の異常によって起こる疾患にも十分効果があります。


2)耳鍼(みみばり)
一般的に東洋医学や鍼灸療法というものは、中国が源流と言われていますし、そう思っている方が多いことと思います。耳鍼もその例に漏れず、中国で最初に始められたと考えられていると思います。確かに鍼灸の古典書物である「素問(そもん)」「霊枢(れいすう)」「難経(なんぎょう)」などには、「耳にはすべての経脈が集まっている。」と言うような記述がありますが、具体的な方法がかかれているわけではありません。現在知られている耳鍼の治療法を系統立てて生み出したのは、フランスの医師であるP.ノジエです。ノジエによって耳鍼が研究されたのが1951年のことで、その後1956年に中国に逆輸入され、それから中国で発展したものですから、そんなに古くからあるというわけでもないのです。
耳鍼というと「痩身法」や「耳つぼダイエット」と言う言葉と一緒に有名になったので、耳鍼=ダイエットの方法と思っている方も多いと思います。しかし上記した中国古典書にもあるとおり、耳には全身の経脈が集まっていると言うこともありますし、解剖書を見てみると耳介の一部には、10番目の脳神経である迷走神経から耳介枝(じかいし)と言うものが出ています。迷走神経は内臓の色々な器官の運動や知覚を司っているので、耳鍼による刺激が内臓器官に影響を与え、病気を治癒したとしても、不思議なことではないと思われます。故に耳鍼はダイエットや痩身のみに効果を現すものではなく、色々な疾患に効果があると言うことを理解していただきたいと思います。
一般的に耳鍼では普通の治療で使う鍼のように尖ったものを刺すのではなく、粒鍼(りゅうしん)と言う小さな金属製の玉のようなものを貼り、上から押さえて圧迫刺激を与えます。円皮鍼や皮内鍼などの短い鍼を直接耳介に刺すような方法もあるようですが、耳は常に外気にさらされているので、万が一施術後に不潔な手で触ったりすると、菌やウイルスが鍼の傷口から入って、帯状疱疹などになる可能性も否定できません。当院では耳鍼をする際には、安全性を考えて粒鍼のみで行っております。

3)小児鍼(しょうにしん)
小児鍼とは、一般的に0歳の乳幼児から小学校高学年の児童を対象として行う鍼治療で、大人に施す鍼治療のように、鍼を刺入することはありません。小児鍼用の特殊な形の鍼(一般的にイチョウの葉のような形をしたものや、熊手のような形をしたものを使います。他にも色々な形のものがあります。)を使い、鍼で刺すと言うよりは、鍼の先で皮膚をこするようにしたり、叩いたりします。大人から見ると、ただ皮膚をこすったりするだけで、効果があるのかと思われがちですが、子供、特に乳幼児の皮膚の感覚受容と言うものは大人とは全く違い、ほんの少しの刺激で大人の鍼治療と同じような効果を得ることができます。
小児鍼はどちらかと言うと関西地方で行われていたようです。関西では小児鍼の事を「虫ばり」と呼び、夜泣き、疳の虫(離乳期の乳幼児に多く見られる神経症。特に障害もないのに、不機嫌になったり、泣いたり、夜になっても眠らない、キーキーと声を立てる等の症状が見られる。)などを持つ子供は、病院に行くより、鍼灸院に行って「虫ばり」をしてもらうようです。また関西の方では小児鍼専門の鍼灸師さんもいらっしゃるようです。小児鍼は上記したような夜泣き、疳の虫以外にも、小児喘息、風邪をひきやすい、食欲がないなど単なる疾患だけではなく、体質改善の面でも非常に有効な方法だと思われます。
当院でも小児鍼を行うことは可能ですので、このページを見られている方の中で、お子さんの体調のことで、夜泣きを治したいとか、体質改善したいというような考えをお持ちでしたら、是非1回試してみられることをおすすめします。