R S L 
MADE IN NEW ZEALAND


 プラスチックモデルの命ともいえるものに金型がある。

 金型を製作するにあったてはメーカーの思惑が数多く盛り込まれていくわけで、その要素は千差万別である。

 プラスチックモデルが日本に姿を現し次第に街の隅々にまで普及しはじめた頃、多くの会社が数多くの金型を

 製作した。 しかし、それらメーカーは残念ではあるがその後淘汰されていく運命にあった。

 これら姿を消していったメーカーの金型は、いったいどんな結末をたどったのであろうか。

 放置され朽ち果て、はたまた灼熱の溶鉱炉に沈んだ・・・・・・大多数の金型たちはこの過酷な運命に殉じたのであろう。

 
 そんな中で幸運にも他メーカーに引き取られ、再度陽の目を見た金型も少なくはない。

 
 1965年にマルサンから発売された

 ” グラマン TBF-1 アベンジャー 艦上雷撃機 ”  1/50

 マルサン倒産後 金型は日本模型に転売されされることになる。

 ユニークな折りたたみ機構をもち、ミニベビーによるプロペラが

 回転するというギミックをもつ。

 1970年に日本模型から新規に発売され、現在も現役という

 驚きのキットである。

 いにしえのマルサン商店製作の金型が三十数年の時を経ても

 なお、今だ使用中なのだ。
 ただ、この傑作ともいうべきキット・金型ではあるが、実はオリジナルはマルサンではなくモノグラム製でそれのコピーなのである。

 本来なら不法ですらあり、直接の血のつながりなど微塵もないマルサン商店の金型ではあるが、こんな流れすらも今となっては

 金型の命脈を保つ という意味では実に貴重な文化遺産といっていいのではないだろうか。
 

 きっと アベンジャーの金型は 幸せ・・・・・なんだろう。
 マルサン商店倒産後、モデルはフジ・サニー・アルカンシェルなどにより引き続き販売れて

いったが、多くのモデルは海を渡りアメリカのUPCという会社に引き継がれることとなる。

マッチ箱シリーズ・1/100世界の名機シリーズ・1/50飛行機シリーズなどである。
 

BOEING F4B-4
S.E.5-A
ROYAL AIR FORCE FIGHTER IN THE WORLD WAR T
 RSL はニュージーランドのメーカーであるが、委細は

 不明である。

 画像を見ていただければわかるが、どうやらマルサンの

 再販品を販売していたようだ。

 その手法はUPCなどとはまったく違い、若干箱のサイズの

 違いはあるが、基本的には箱絵から構成・ロゴの配置まで

 ほぼ同じでフルコピー状態である。
 
 何故かART(KIT) NO まで同じだ。

 ただ、シリーズ化の予定が不確実だったのかボックスサイド

 はマルサンのものとはまったく異なったものになっている。

 組説も構成の違いはあるが 図・解説は同じ物のようだ。

 
 <左がRSL 右がマルサンの ART NO 439 の S.E.5-A>


 <右下は マルサン最終時 マルザン時代の ボックストップ>
 <左 RSLの組説と 右 マルザンの組説>
 <パーツのパッケージ>   右が RSL製  左が マルサン製 である
   裏? 側   転写マークはほぼ同じであるが RSLの方には

         MADE IN NEW ZEALAND の記載がある
右は マルザンのもの


左はRSLの成型品である

パーツ取り・形状などは

マルサンのものと まったく

同じだ。

成型色はほぼ同色だが

RSLの方がバリなどが多い

ようである。
 ここで疑問になるのが、RSLの製品がいかなる金型で成型されたという点である。
一般的にいうとマルサン倒産後何らかの経路でRSLに譲渡された、という解釈が一番自然な気がするが
現在それを裏付ける資料はない。

 ならば、RSLがパッケージごとマルサンの製品をコピーしたのではないかという考えはどうだろう。

 RSLがいかなる商品展開をしていたかは不明であるが、少なくとも当時 NEW ZEALAND から大量の
プラスチックモデルが日本に入ってきたとは思えない。 また、現地で売っている限りそれが日本製品のコピー
であることに気付く者はほとんどいなかったことであろう。

 UPCなどはパッケージをまったくのオリジナルに変更し発売しており、この辺の事情を知らなければUPC
オリジナルキットと思ったことであろう。 誰しも購入時にそのモデルの来歴などを調べ上げてからでなければ
組立られない、などという事はまずはない。

 ただ、もしこのモデルが無断コピーだったとしても、コピー元のモデルNOまで同じにする必然性はまったくなく
ましてこの程度のボックスアートなら、新規に描きおこしたとしてもさほど費用的な違いはなかたのではないか。
というより箱替えをしRSL製オリジナルモデルとして発売したとしても、よほど模型に詳しい人でもなければコピー
とは気付かなかったのではないだろうか。

 そして何より、マルサン S.E.5-A は 元々オーロラのコピーであったのだ。  

 コピーするなら  オリジナル 

 マルサン製品の多くは同社倒産後、UPCに引き継がれた。
しかし、この 複葉機シリーズがUPCで製品化されたとはあまりきいていない。

 UPCはマルサンの他にも三和などの日本の他メーカーの製品も、アメリカで発売している。

 結果、そのラインナップには皮肉にも自国メーカー オーロラ・モノグラムなどのモデルも知ってか知らずか、
存在してしまう結果となってしまった。

 コピーは廻る・・・・である。

こちら複葉機シリーズ BOEING F4B-4  ART.NO.440
 
 Nakajima HAYATE Frank
 <成型品 比較  上が RSL製  下が マルサン製>
 疾風 マルサン・オリジナル ART NO 7068

 再販時 ART NO 432 で発売

 RSL の KIT NO 432 となっている。

 マルサン 1/50 疾風は UPC でも発売していた

 はずで、そうなると金型は・・・・・・・?