とある街外れ、そのまた外れの森の中に一軒の薬屋があった。

交通の便もあまりよろしくない上に、看板も満足に立っていない為、初めて一人でこの

薬屋を訪ねようとする人は迷いかける人がほとんどだ。(実際迷った人も多数いる)

それでも、ここの客足は絶えない。

なぜなら、ここにない薬はないと噂されているからだ。

まあ実際そうなのだが。

店内は広い。といってもカウンターは狭い。接客場も狭い。広いのは薬品棚のある部屋。

カウンターの後ろの半分ガラスでできた壁の後ろには壁に沿ったものと、部屋の中央には図書館のように建たれた木棚が5列ほど。それ全部が薬品棚である。

薬品棚は、だいたい20cm四方の木製の引き出しで全てが埋まっている。

引き出しの表面にその薬のラベルを貼っておくのだ。

薬品棚にしまってあるのはすぐに使用できる他の薬局でも扱っているような薬の他に、

乾燥した薬草やそれを粉状にしたもの、それを調合したこの店にしか扱ってないようなものなども入っている。

さらにドアを隔てたその奥は調合室。ここで粉状の薬草を薬を使用する人に合わせて調合する。

調合室の隣は休憩室。その隣は仮眠部屋。

 

二人はここで働いている。

泊り込み(いわゆる残業)はあるがここに住んでいるわけではない。

二人のうち一人は人間ではないらしい。「緑竜」だと言っていたが、本当かどうか怪しい。

言っているのが本人だけだし、なにより外見上は他の人間とどこも変わらないからだ。

髪は黒髪でストレート。肩より少し下のところできれいに切りそろえられている。一つに束ねようと思えばなんとかできそうな長さだ。

頭は少々とぼけたとこがあるが、顔立ちは整っていてとても綺麗だ。眼はやや切れ長の眼で、灰色がかった藍色というなんとも不可思議な色をしている。

性別は男だが(多分)、たまに女性に間違われる。

このお店では一番古株だが、店長ではない。(店長は他にいる)

名前はセルフォス。

もう一人は人間。自称「緑竜」より頭ひとつ分弱背が高い。「緑竜」より行動力がある。

(しかもかなり)

髪は明るいオレンジ色で少しクセっ毛。腰の辺りまで伸ばしている。

彼の同僚が三つ編みをよく試みる。

こちらもなかなか(でも同僚には劣るが)整った、やや男らしい顔立ちで眼は少々

吊り目。明るい髪によく似た目の色をしている。

性別は男。こちらは不思議と女性に間違えられた事はない。

名前はヘリオライト。

こんな二人のお話。