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古民家を活かす

古民家を再び活かす

温故知新の家暮らし

【 古い民家探し 】

欧米諸国で古い民家は、資産として考えられています。古ければ古いほど、価値があり、買った値段よりも高く売れるのです。また、古い民家を改装、リフォームしてレストランや喫茶店、アトリエなどに利用することは、とても一般的に行われています。
しかし日本ではまず、古い建物には「価値が無い・・」というコトになっており、「価値が無いもの」をわざわざ取り扱おうという不動産屋さんはありません。これは、不動産の仲介というシステムでは、その不動産の評価額に対する割合が報酬の目安となるため、評価ゼロの建物に対するメリットが無いからです。また、古い民家の持ち主本人も「どうせ、価値が無い・・だれも借りないだろう・・悪くなって使えるワケがない・・」と考えている場合がほとんどですので、不動産屋に出そうとか、貸し出そうとか、ゆう発想がもともと無いのが、あまり情報としてでまわっていない原因です。
良い「民家」は、歩いて探す!これが、鉄則です。
これを、ココロがお手伝いいたします。使えそうな民家・・民家がありそうな場所・・は、外見からではとてもわかりにくいのです・・・。

【 民家暮らしのススメ と 民家の使い方 】

高温多湿の気候の中で、日本人は自然と共生しながら生活してきました。それは民家のような家造りにも表れています。

例えば「湿気」に対してはかなり徹底しています。いつも開けっ放しにできる大きな開口部や単純で風通しが良い間取り・・湿気の溜まりやすい床下を大きくとって通気をさせました。水を使う場所は建物の本体とは別構造にするか、全く別棟としました。また囲炉裏やカマドから出る煙が、萱(かや)葺き、板葺きの屋根や家の中を乾燥させるばかりか害虫を寄せ付けないような効果を生みました。
これが、生活やエネルギーの変化により、まず、家の中で「火」を使わなくなったところから「民家の使い方」が変わってきました。家の内部で「火」を使う場合は、とにかく空気の代謝が良いように、対流がおきやすいような構造で造る必要がありました。また、火による、ススやホコリなどがしょっちゅう落ちてきますので、働き者の主婦が朝晩は必ず家中をハタキやホウキで「掃除」をし、人が素足で行き来する廊下や板の間などは常に雑巾がけをしていました。また、日本の家のほとんどについている「ハキダシ」といわれる引き違いの建具は、「湿気」と「掃除」の為の巣晴らしいシステムだといえます。
開けっ放しにすることで、床にたまったゴミをそのまま外へ吐き出せます。掃除も換気もやりやすい。大掃除の時は全てはずし、中のものを出し入れできる・・・これは日本の風土が生んだ、日本独自のスタイルなのです。
「火」を使わなくなったコトから、「家」には逆に気密性が求められました。「隙間風が寒い・・」というのはもともと空気の代謝を前提に造られたモノですから当然です。民家は寒い・・・これが、敬遠されてきた大きな理由です。

「それでも・・民家は優れている」


では、何故、そんなに寒いのに民家を使おう・・と奨めるのか?それは、もう手に入らないモノが使われているからです。そして、「湿気」に対するシステムはやはり、優れている・・と考えるからです。
日本は、年間のほとんどが湿度60%以上、梅雨時期には100%という湿気王国です。湿気が多い・・ということは、それだけ有機物の代謝が行われ、生物が豊か・・ということにもなりますが、同じように、病原菌や細菌、カビなども多いということになります。目には見えなくとも空気中には、様々な細菌やゴミ、カビが飛び交っています。これを、完全にシャットアウトするのは、一般の木造では不可能に近いのです。また、住宅の内部の湿気のうち、外部から進入してくるものは大きな割合をしめています。たとえ、建物が完璧に断絶できる造りだとしても、生活する上で必ず湿気や細菌は入ってくるのです。
一度入った湿気や細菌を出すことは、容易ではありません。シックハウス対策で換気扇が義務化されたのもそのような理由も含まれるのです。

しかし「高床」と「ハキダシ」・・この民家にみる二つのシステムをうまく利用し、断熱改修を行えば、新築よりも優れ、長持ちする家ができる可能性があります。また、民家には、現在では採取できないような材料や今ではできる人のいないような技術が使われています。現在市販されている建築材料の寿命はせいぜい20年。その材料をふんだんにつかった住宅寿命も25年~30年です。もうすでに50年以上経っている民家でしたら、それより優れた素材が使われている・・ということになります。素材は優れているのですから、生活スタイルに合わない部分や悪くなった部分を改修して使えば、より優れた家になるでしょう。

「民家改修・整形か?治療か?」


一般民家(近代住宅)や民家のリフォームや再生は、その状況やレベルによって全く異なります。人でいう顔や体の整形手術として考えると、予算をかければそれだけの変化や効果がでてきます。目を二重に・・とかでしたらたいした金額になりませんが、大々的に骨をけずるだとかゆう話になると何百、何千とお金がかかります。また、治療として考えると、外面だけでなく内面、内臓の不具合や病気などがあれば、まずは整形ではなくそこを直すことを優先するでしょう。民家のリフォームも全く同じことです。
民家のリフォームや再生は、この整形と治療の両方を兼ねています。どこまでやるべきなのか?と、どこまでやりたいのか?を整理して考えなくてはならないのです。

どれくらいかかるの??

既存の使える部分が多ければコストは最小限で納まります。
しかし、少ない場合や大々的な手術が必要な場合は当然、費用がかかります。下記は改修やリノベーションにかかる費用のおおまかな目安です。

「店舗への改装など」
・物販展の場合:300万から   ・飲食店の場合:500万から 
什器やいすテーブルなどの家具や厨房機器がある場合は、別途必要です。

「25~40坪くらいの家として・・」
・100万~200万くらい・・家の中の主要な部屋の床張替えや壁の張替え、塗り替えなど。
・500万くらい・・家全体の床張替えや壁張替えなど(ただし水周りのやりかえなどは別)若しくは、水周りだけのリフォーム。
・1000万くらい・・水周り(トイレ、台所、風呂場)のやりかえも含む(間取りの大規模変更はなし、小規模変更可能)
・1500万くらい・・外部の塗り替えや屋根の補修、張替え、一部の窓の入れ替え、一部間取りの変更、一部断熱改修などを含む。
・2000万くらい・・耐震補強、間取りの変更、断熱改修、屋根の全面葺き替えなども含む。
・2500万くらい・・一部ジャッキあげして土台の入れ替え、悪い部材の入れ替え、建具の全面入れ替え等を含む。
・3000万くらい・・全面揚げ家して基礎ごとやりかえまでやる。
・3500万くらい・・近くに曳き家することまでを含む。
・4000万くらい・・移築、立替え。

※実際には、詳細な調査や計画が必要です。
※古い建物ですので実際にあけてみないとわからない・・という場合が多いですので、予定金額プラス最低5%~10%位のリスク対策費は考えておいた方が良いでしょう。

「火」のある生活を前提とした民家暮らし。

土壁とハキダシ建具はデザインと機能を兼ね備えています。
チョウナではつった柱。今では手に入らない材料と技術です。

縁側でコミュニケーション。民家スタイルの暮らし方をしてみませんか