ダンボールを使った建築ワークショップ
設計衆団leaen-network(略してLN)は、掛川、袋井、菊川の遠州を中心に活動する建築関係者の組織です。主要メンバーはすべて建築士で構成されており、主に街づくりについての提案や子どもたちと一緒に建築を題材としたワークショップを行っています。その他、メンバー各自の専門分野を活かした活動(民家調査、舞台装置提案、オブジェ製作など)も行っています。 2001年の発足から数々の活動をしている中、LNがもっとも主体としてきた素材は「ダンボール」です。
2003年のスローライフ月間in掛川のワークショップ 「ダンボールタウン」 子供たちには、毎回「未来の建築家認定証」をわたします。2003年の「スローライフ掛川」で地元子どもたちとダンボールで街を造るイベントを開催したのをきっかけに、地元の掛川、袋井のほか、山口県、東京都、埼玉県、岩手県などでダンボールを使った「建築ワークショップ」を実施しました。ダンボールを使う・・と言っても一般の「工作」とは、全く違う考え方でやっています。「工作」と違う・・というのは、あくまで「建築物」を造ること。身近な素材を使って人が入ることができる「建築物」を造ることです。それにはものづくりの集大成である「建築」に携わる者としてのこだわりがあります。
2007年、岩手県遠野市で行った「ダンボール曲がり家」
2004年、埼玉県草加市の駅前広場で行った「ダンボール茶室」昨今、「ものづくり」や「街づくり」の概念が崩れようとしています。合理主義、プロセスを排除した社会的な傾向の中で、本来は人の手で、本来は自分の手で、築いていた物の大半が、ただ買えばよい。お金さえ払えばやってもらえば良い。家は買うもの・・という感覚が普通になっています。それにより、色々なところで歪みのような現象がおきています。食料品偽装などは、プロセスに興味を抱かない消費者を利用した行為ではないでしょうか。大きな規模で言えば、地球温暖化などはその最たるものと言えるのかもしれません。
いつも参加者全員で記念撮影をします。(埼玉県草加市での様子)身近な素材を使い、実際に自分の手で造ることにより、自分の生活する「家」や「街」は自分自身で造ることができる・・街は自分で築いてゆくものなのだ・・という事を体感することができます。さらにその出来上がってゆくプロセスの大切さや、出来上がった時の喜びを知ることで、「誰かがやってくれる・・」「自分は関係ない・・」という感覚から「自分がやれば面白い・・」とか「自分が関わってみる方が良い・・」という感覚を持つことができます。 特に純真な子供たちがこの体験をすることは大変重要なことだと我々は思っています。 |
ダンボールという素材に注目したのは、初めは単に予算が無いから・・ゴミ処理が大変だから・・道具があまり必要なく、安全だから・・そんなことからです。しかし、ダンボール建築のワークショップを続けていくうちに、ゴミ問題、資源問題に悩む現代には、これらの条件が非常に大事で、これからの時代には大変適した素材であることを実感しています。そして、このダンボールの建築的な可能性は多分にあると思っています。 設計衆団LNは各地でのダンボール建築のワークショップを通して、さらにその可能性と社会的な意義を追求したいと考えています。 身近な物から、大きな物まで・・。
静岡県袋井市「月見の里」で行ったワークショップ 「ダンボールドームⅠ」三角形を組み合わせてつくるダンボールドーム (2003年)
同じく、月見の里で行った「ダンボールドームⅡ」巨大ドームの大きさは何と3メートル(2004年)
山口県柳井市スローライフ柳井で行った「ダンボールⅢ・・・金魚ドーム」 名物金魚提灯型ドーム(2005年)
東京で行われた「全国まちづくり会議」で行った「ダンボールドームⅣ」 全国まちづくり展にて「奨励賞」を受賞(2006年)
山下が個人で地元小学校の「くすのき教室」でおこなった「建築教室」でもドームを製作(2004年~2006年)
他にも、子供たちの感性に任せた、さまざまなダンボール建築が生まれました。 |