「 こころ現代民家研究所 」 の木造建築

トレーサビリティの家づくり 

今、様々な生活品の安全性が問われています。特に食品業界では、その産地や原料などがわかるような仕組み「トレーサビリティ」が一般化しつつあります。そして中国製食品などの影響から、素材の安全性への関心も高まってます。
CIMG0380.JPG
「トレース(Trace)」・・・痕跡、たどること。 と 「アビリティ(Abilithy)」・・・能力、できること。 
を合わせて 「トレーサビリティ(traceability)」といいます。(日本語訳:追跡可能性)
つまり、原材料から消費者が実際に手に入れるまでの生産や流通の管理をして「追跡できる」ことで、安全性を高めよう・・という取り組みです。これには、原材料や加工、流通時の「素材そのもの」の安全性を消費者が確認し、選択できる・・というメリットと、生産、加工、流通に関わる人それぞれの顔が見えることにより、その各自が責任を持って仕事をし、確かな物を消費者に提供するという生産に関わる側の意識改善にも繋がります。また、どれだけの手間をかけているか・・という生産に関わるプロセスやコストを消費者に直接アピールすることもできます。これによって総合的に生産品の安全性が高まり、適正な価格で適正な品を消費者が選んで手にいれることができるワケです。「生産者側と消費者側を繋げる」・・・この顔の見える関係で家をつくることが「トレーサビリティの家づくり」です。天竜TSドライシステムでは実際にその方式で木材生産、管理をし、販売しています。
天然乾燥の木材にとっていちばん大事な、伐採した時期(伐り旬や旧暦に沿った伐採方法の時期)や乾燥期間(葉枯らし乾燥+自然乾燥)を確実に行っているか?という証明のためにも、積極的に取り組んでいます。

※木材に関する「トレーサビリティ」はNPO新月の木国際協会が提唱し「履歴現認記録方式」として管理された木材を消費者に提供する活動を行っています。このトレーサビィリティは「新月の木国際協会」の規定として協会で普及促進を薦めているものであり、天竜TSドライシステムで実施している「トレーサビィリティ」とは異なるものです。

「NPO法人新月の木国際協会」サイトはこちら・・LinkIcon
「天竜TSドライ協同組合」サイトはこちら・・LinkIcon

木材のトレーサビリティ (伐採から製材まで・・素材生産者の取り組み)

「伐採」

IMG_3601.jpg ココロが推奨する木材は「冬季伐採」「葉枯らし乾燥」「天然乾燥」されたモノが前提です。まず、伐採は、旧暦に沿って行います。伐採の日付のほか、山林番地等の「山林データ」などを記録します。

「葉枯らし」

20061201_IMG_1807.JPG 「葉枯らし乾燥」 は3ヶ月以上行います。管理番号がついてますので、葉枯らし期間が確実に3ヶ月以上であるのか、チエックすることが容易にできます。また、旧暦に従い、木材の伐採期間や方法を変えています。 梁桁、柱など、構造的に重要な部分や赤身材など耐久性が必要な部材をとる木材は、満月直後~新月に向かう2週間で伐採作業を行います。(※新月当日まで、ではなく新月前日までの作業となります。)

「玉切り」&「出材」

20050925_0068.JPG 山で葉枯らし乾燥した後、数メートルごとに切られます。これを「玉切り」といいます。この玉切段階で、その木材の状況による種分けを行い、集材し、製材所まで運搬を行います。

「天然乾燥(丸太)」

DSC06542.JPG山から下ろされた木は、土場(どば)と言われる場所で製材されるまでの期間をすごします。ここでも自然に乾燥が進みます。雨にさらす事により、木材の乾燥がさらに進み、また木材の中の「アク」やその木が持つ「クセ」を製材する前に発生させ、製材後の変形量を少なくするような効果を持ちます。

「製材」

DSC00086.JPG丸太を実際の建築木材に使用できるような大きさに製材してゆきます。この場合も、管理された番号によって丸太をどんな材に製材するのか?を決めています。同じ材でも、丸太の下の方は大きな梁やカウンターなど、中間部は小さい梁、桁や、板として、上の方は柱や束など・・できるかぎり無駄な材料がでないよう、その部分に適した製材を行ってゆきます。この製材日もデータ管理しています。

「天然乾燥(製材品)」

20070210_IMG_2327.JPG製材は、その後の収縮等を考え、必要とされる寸法より数ミリ大きい寸法で挽かれます。そして、一本一本、乾燥のための桟をはさんで積まれます。この状態で6ヶ月の天然乾燥をします。
木材の乾燥状況により、桟の入れ替えをしたり、材料配置を変えたりしています。

「製品化(プレーナ・加工)」&出荷

IMG_4553.jpg 6ヶ月を過ぎた木材の中から、発注にあわせて製品をつくり、出荷してゆきます。特殊な寸法の材料などは、丸太の時にあらかじめ挽いておきます。ですので、乾燥期間を考えると、設計段階で必要な材料を特定しておくことが必要です。
木材のトレーサビリティ (製材から建て方まで・・設計者の取り組み)

「山林見学&体験」

20060225_0014.JPG山の状況や製材の様子、木材管理の方法などを実際に見学をしていただきます。また、木の「伐採体験」や「植林体験」などのオープンイベント等を通して、山や木に関する理解を深めます。ユーザーの足が山に向く広報活動を川上の「素材生産者」と川下の「設計者」が協力して行っています。

「図面&木拾い」

kozozu.jpg木の組み方を記した「伏図(ふせず)」や木材の詳細な加工詳細図」などを作成し、これに沿って実際、どんな寸法の木がどれだけ必要かを数えます(木拾いといいます)。また、この際、木材生産側と連携を取り、木材の在庫状況や乾燥状況などを確認しながら、設計を進めます。現場でも施工者はこの「木拾い」をもとに木材を用意します。

「木材検査&木配り」

DSC04202.JPG製材業者から「木拾い」に沿って納品された木材を検査するのも設計者の役割です。寸法、含水率、強度(ヤング係数)、腐りや割れなどの木質状況をチエックしてゆきます。そして、設計図をもとに、同寸(同じ寸法)の材料などの振り分けを行います。例えば、リビングのような場所は出来るだけ綺麗な柱を使い、残ったモノを物入や隠れてしまうところにもってゆく・・湿気が多い部分は赤くて腐りにくい材をもってゆく・・など所謂、番付け作業を第一段階として設計者が行います。この検査は、構造材全部に関して行います。

「墨つけ」

IMG_5840.jpg 検査が終わった木材は、施工者(大工さんなど)に渡されます。施工者は、設計者がつけた番付けをもとに「墨つけ」という加工に必要な線を描く作業にかかります。しかし、その際にも再度、材料の方向やクセ、材の組み方などのチエックをし、若干の修正を加えながら墨をつけてゆきます。個性の強い国産木材を出して使うには、何十ものチエックや選択を経て加工しなければならないのです。

「刻み(きざみ)」

IMG_5809.jpg墨つけを終えた木材から加工をします。その際、加工を行う職人さんにも設計内容を理解してもらい「墨つけ」が正しいか、チエックしながら加工をしてもらいます。また、加工段階で、ある程度使いまわしが可能な材や端材などを判別して無駄な木材が出ないよう、チエックしてゆくのも重要です。例えば、柱材の端を、小屋束や床束に転用する場合もあります。設計者と職人が常に連携をとり、刻まれてゆくのです。

「現場建て方」

DSC06526.JPG 刻みが終えた材が現場に運ばれ、建て方が行われます(いわゆる建前)。この建て方の際も、設計者が立ち会い(手伝いに近いかも?)ます。実際に組みあがってゆく段階で対処しなければならない事態に備えて、また、現場の職人の意向や作業効率などを踏まえて常に設計に反映してゆく為です。(ワタシの場合は釘袋をさげて・・)

現場履歴

元請業者や現場監督だけにまかせず、現場に入る業者がどんな職人で、いつごろ工事をしていたか、などをチエックし、写真で記録を残したり、不具合などがあれば修正するように指導します。そして、これらを一覧にまとめて監理報告をします。これによって、いつ?どこで?だれが?どんな工事を?を追跡できます。
DSC00211.JPGyagi_023.JPG101_1099.JPG20051121_0027.JPG

オープン現場見学

建物が完成すると、隠れてしまってわからない部分やわかりにくい構造的な部分などを現場見学会等で公開させていただきます。この完成前の現場を見せる・・ということは、人に見せても良いような施工をしている・・見てもらえるように、いつも綺麗な現場を保っている・・ということになりますので、ユーザーさんにも大きなメリットがあると考えています。
DSC06369.JPG20050626_0047.JPG20070111_IMG_2069.JPG20051218_0004.JPG



20070210_IMG_2328.JPG