人類の歴史は、石器時代、青銅器時代、鉄器時代と進んできました。私たちが金属に触れる機会が増えてきたのは産業革命以後のことです。金属は、人類に大きな恩恵をもたらし、私たちの生活に欠かす事が出来ないものとなっています。

歯科の治療においても、従来は金属が不可欠であり、お口の中に金属が入っていない人を探すのが難しい程に使われています。しかしながら、この金属が思わぬ弊害をもたらしています。
金属がイオンとなって溶け出すことを溶出と言いますが、金属アレルギーにおいては、超微量の金属イオンがアレルゲンとなって人体に様々な症状を発現させます。

ピアスやネックレスなどの装飾品や腕時計が金属アレルギーの原因として注目され、金属アレルギーと診断された方は、このような物を身に着けないように言われます。しかし、お口の中の金属は、意外と見落とされやすいのです。

現在知られている金属は77種類、そのうちアレルギー反応を引き起こす事が確実なものはCr、Co、Ni、Au、Mn、Pd、Rh、Ptなどの8種類。その他、アレルギー反応あるいは類似反応を有する金属としてAl、Fe、Zn、Cd、Sn、Sb、Ir、などが報告されています。
この内、Cr、Co、Ni、Hgなどは感作作用が特に強い金属です。

現在歯科では20種類以上の金属がさまざまな合金の形で使われています。一般に金合金、金銀パラジウム合金、銀合金及び卑金属を主成分とするニッケルやコバルト合金、銀アマルガム合金に分類されるのですが、感作作用の強い上記4種類の金属が特に多く使用されています。
近年ヨーロッパでは特にNi(ニッケル)に対するアレルギーが問題視され、装飾品や時計など皮膚に接する金属製品の使用基準が厳密に規定されており、この規則に違反した場合、一年以内の監禁及び拘束という罰則規定があるほどです。

お口の中は、唾液、歯肉滲出液、食べ滓などの電解質や、細菌が産出する酸や硫化水素が存在し、異なった金属間に発生する電流(ガルバニ電流)も発生し、非常に金属イオンが溶出し易い環境になっています。
難治性の皮膚疾患、特にアトピー性皮膚炎でお悩みの方は、お口の中の金属を全て除去し、非金属材料で治療することをお勧め致します。

現在、虫歯を詰める為にはCRレジン、被せる為にはハイブリッドセラミック(エステニア)、入れ歯にはチタン(アレルゲンとならない金属)など、様々な材料を使って治療することができます。アレルギー疾患でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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