そば屋の職人の階級

 

・そば屋の職人には「はまり」と「手間取り」の2種類があり、「はまり」は家付きの職人で「手間取り」というのは派遣職人です。その違いは「はまり」は給料が安いかわりにのれん分けなどの特典があり、「手間取り」の日給は高いが保証はない。

 

・そば屋に素人が入店すると「まごつき」と呼ばれる雑用から始まります。する仕事は汁入れ、薬味付け、出前、そば洗いといったところです。ときおり、釜についてそばの茹で方も勉強できます。昔と違って燃料がガスですから一番難しかった「釜下」の技術が不要になった。そのため、誰でもそばを茹でられるようになったので釜前より格下だった調理掛けの「中台」(そばの種物などの調理、天ぷら揚げ)が幅を利かせるようになった。現在はそれでおしまい。

 

・手打ちができ、難しいそば粉でもこなせる「板前」は不必要になった。

 

・「汁取り」は旦那の仕事で、味はその主人の舌に合わせてあります。汁まで手間取りに任せるとその職人が変わると味も変わってしまいます。逆にいえば、手間取りになれば「汁取り」は覚えられない。

 

・職人の序列は「まごつき」「下釜」「運転」「中台」「釜前」「板前」で仕事を覚えるのは「見ること」「盗むこと」「可愛がられること」で、手を出せるのは「おゆるしがあってから」ということになっています。