○なぜ「そば」はノビるのか
数学者の高木礼文先生がそばをカットして顕微鏡で覗き解明した文献によると、
・そばもうどんも粉の中に85%から90%の澱粉と残りは蛋白質が含まれている。
・つなぎに関係するのは蛋白質で澱粉は煮上がってから「糊化」する。生の間は役立たず。
・小麦粉の蛋白質は水に会うと膨らんで蛋白質同士がくっつき、網の目のようになってその中に澱粉を包み込むから丈夫。一方、そばの蛋白質は水に会うと膨れるだけで他の粒子とはくっつかず、残りの1/3の蛋白質だけが水に溶け、煮えないうちから糊になり、それが他の粒子を「雷おこしの飴」の部分のように手をつなげてバラバラにならないようにしている。
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そば粉 |
うどん粉(小麦) |
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主な成分 |
澱粉 |
蛋白質 |
澱粉 |
蛋白質 |
85-90% |
10-15% |
85-90% |
10-15% |
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水に会うと |
蛋白質は膨らみ、1/3が水に溶け糊になる。(全体の3-5%) |
蛋白質同士がくっつき、網の目のようになり、その中に澱粉を包み込む |
ですから、水気が多いとちょうど郵便切手の裏の糊に水をつけ過ぎるとくっかなくなってしまうのと同じです。これは、生のときだけでなく茹で上げてからも蛋白質は糊になりませんからいつまでも水に浸っていると流れ去ります。しかし、澱粉の糊がありますからよく糊化されておればブツブツ切れることはありませんが、中の大切な部分が脱落するのでフカフカになり間が抜けて「腰」がなくなります。そば粉の色が白くなる(更科粉)と蛋白質は少なくなり延びませんが、その代わり最初はつながらなくなります。
そば粉に小麦粉をつなぎに入れると、うどんほどではありませんが網ができてつながります。小麦粉が多くなればなるほどつながりやすいのは当然です。
「もりそば」でしたら大丈夫でも、「かけそば」のように汁の中に浸っていると、生そばは長く持ちません。すぐに延びてしまいます。「もりそば」でも、そばに水分が多ければやはり水溶性の蛋白質は流れるし、その隙間に水分が進入し奥の方まで溶かし出します。