リレー小説 第ニ回 


『サーント、サーント、サーン、トォー♪』

 宗教に加入している人間というのは教会で一体何をしてるのか昔からちょっと謎だった。
特に日本人の己はそういうのに弱い。
 だが‥‥どうやら歌を歌っているらしい。玄関の分厚い赤扉を両開きにすると、さらに奥まった部屋からの壁越しにパイプオルガンと男女の唱和が漏れ聞こえてきた。
 わざわざ大勢で集まって、ノレない歌を行儀良く歌う。‥‥己の嗜好には合いそうに無い。

「礼拝は初めてですか」
「はいそうです」
「ではこちらに記帳をお願いします」
「わかりました」


“ご住所:バー『フォルテッシモ』”
“お名前:ダンテ”
 己は淀みない動作で他人のデータを書き込んでいく。

「ようこそいらっしゃいました、ダンテさん。さっそくですが――

―― ホォル・ダッ・プリィズ?(Hold up please)」
 受付嬢が机の影から短銃を出した。
『スコーピオン』だ。

 暇だからウンチクでも並べよう。

 ソ連系の火器は全体的にデザインがアレだがこれは別。銃床を折り曲げるとワインダーになるギミックを始め、随所に銃匠の遊び心が満載である。
 そして特筆すべきはそのサイズ。機関銃にあるまじきコンパクトネスだ。
 極端な話、ポップコーン容器の中にうずめてシアターの中でスクリーンを秒間13発の弾丸でハチの巣にできる。‥‥もしそのフィルムが彼(または彼女)のお気に召さないならば。

「はい、おつかれさまです」

 ようやく彼女の相方がこちらのボディ・チェックを終えた。
 ナイフとS&Wにオートマチックを没収される。

 再び金属探知ゲート仕込みの入り口扉をくぐらさせられる前に、女が己の指輪も外そうとする。

「これは外せません!」

 こんな奴らに触れさせてたまるか! 手を引っ込めると受付の女(ひょうたん顔)が目を細めて空想的な微笑でうっとりとする。
 いや、そういうんじゃねーから。

 ‥‥いや、むしろ『そういうの』であってるか? かえって。

「規則でして、金属ゲートを通れる方しか聖堂にお通しできないんですよぉ」
 武器持ちである事を知ってから、痩せっぽちのボディチェック女(しかも出っ歯)は口調がトゲトゲしくなった。死ねばいいのに。

「ゲートは通れます」

 静止を振り切り己は無事にゲートをくぐってみせた。

「‥‥ね?」

「え、うそ。その指輪金属じゃないの。何で出来てるの?」
「愛で」

 口をあんぐり開けた出っ歯(ざまをみろ)を放ってメインの堂に入ろうとする。

「あっ、ちょっとこれ!」
 慌ててバイブルを手渡してきた。棚に何個もおいてある貸し出し用のヤツだ。

「さぁどうぞこちらです」



 白い服の爺さんが壇上で、身振り手振りでしゃべってる。
 簀の子(すのこ)状に並んだ幾本もの焦げ茶色の長椅子、小豆色のカーペット、くすんだ象牙色の壁。たいそう地味だ。聖者の像とかは無い。突き出すような狭い2階部には白いヒラヒラを着た女オルガン奏者とベレー帽をした子供たち―― 合唱隊ってやつか―― が陣取っている。

 しばらく立って観察していたが、長椅子に座った信徒の様子はまちまちだ。白じじいの話に要所で細かく頷くパーマおばさん。なかなかマッチョな赤ら顔のじじい。船をこいでる青年。服は各人で自由らしい。

「‥‥」

 空いてる席を探すと最後尾の右から3つめが目に入る。

 失礼して右側から入っていくと2番目の女の胸がやたらとデカくて太ももに先がこすれて幸せになる。
 ‥‥左側が痩せぎすな男なので、この濃い石鹸の香りは右の女からの物だろう。ちらと見ると随分姿勢がキッチリしてる。デフォルトでその表情なのか、優しげな微笑がよく似合う。

 でも己にそういう御立派なのは無理そうだ。
 さっそくじじいの話に飽きてきた。

「今、苦しんでいる人々はぶどうの木です。曲がったぶどうの木からは家具も作れず柱も彫れない。まして火がついて燃えたぶどうの木からは何が作り出せるでしょう。火をつけたのは主であります。かの天災が主の起こした聖火です。しかし主は我らが曲がった木であったからこそ火を――

 意識が良い感じに溶けてくる。

 帰ったらリンゴでも食うか‥‥。




(ん〜‥‥)
 肩を指でちょんちょんされる。

(ん、んん――
 お手々でスーツの肩をつままれてユサ、ユサ。

(‥‥?)


「‥‥あの、もし」
「ぐ、ぶわっ」

 女の白い手指で己の鼻がつままれていた。ちょっとクシャミをやりそうになる。
 隣の金髪姉ちゃんがイタズラっぽい笑顔を向けていた。「アハ」って感じだ。顔のパーツは大人びてるが笑いの作りが子供くさい。
 少し肩をすくめて弁解してくる。
「失礼いたしました。ごめんなさい。でも、その、献金のお時間なので」

「うん‥‥?」

 その女は逆さにした黒い丸帽子を、彼女自身の張り出したデカパイの上空を迂回させてこちらに回してきた。―― そうしないと彼女の場合は帽子を右から左へ運べなさそうだ。前列の椅子までのゆとりがあまりない。

 その黒の丸帽子。逆さ向けのままで受け取った。

 要するにこれに金を入れれば良いのか。

「おいくらですか?」
 一瞬きょとんとするが、すぐ目を細めてうっとりし、首を傾けながら両手をお祈りの形に組み合わす。
「おいくらでも結構ですわ。これは単なるお気持ちですから」


 己は『自然数ではない非負整数』の金額だけ帽子に入れて左に回した。センキューインド人。

 ‥‥長いすの切れ目では、わざわざゆっくりした所作で高級紙幣を帽子に入れるオバサンがいた。




『ニキータ、悪いけれど今日は先に行っててくれない』と最右の地味な三つ編み女子に告げてから
「さっきはごめんなさいね。起こしてしまいまして」
「あぁ、良いです」
 他の信徒たちは三々五々散り始めている。この後に希望者は食堂室で「餐会」とかいう‥‥とにかく昼飯を食うらしい。

「企業の方ですか」
 長椅子でケツを滑らせ、こちらをなるべく向くようにした金髪女がそう尋ねてくる。
 己は途中から気がついていた。なんとなく隣に座ってしまったこの女こそが次のターゲット―― 『マリア・ロセウム』その人だって。

 だから己は返事代わりに、

―― 死んでもらいます」

 能力名「マイ・フェア・レディ」 
 己の左手の手刀がデカ乳女の喉元に走る。


 ‥‥ハズが、

「ふぇ?」
 萎えて“ふ菓子”のようになってしまった己の左手が、ぽにょん、とマリアの胸に突っ込んで‥‥弾力に戻されながらだらしなく落ちた。

 貧血気味にぐらりと体が傾いて、マリアの紺地の服にぷっかり浮き出た海原のようなおっぱいに顔から突っ込みかけて、

「大丈夫ですか」

 肩口をしっとり押さえられて止められた。訳知り顔の笑みをこちらに向ける。

「おい、そいつ企業の犬か!?」

 左の青年が声をあげ、その様子に気付いた最右席の‥‥ニキータという女性が入り口から戻ってきた。
 遠巻きに離れた輪ができる。

「大丈夫ですわ、皆様。よくある事ではございませんか」
 宗教は権力(企業)と仲が悪い。

「でもこいつマリアさんの胸を揉まなかったか!?」
 妬みの熱が籠もった声だ。遠巻きの男性信徒の何割かにもざわめきがうつった。
「女性の大事な体に触るなんて最低ですね‥‥!」
 ニキータが狭量な事を言う。

(く、ぉ――

「マリア、そいつ危ない!」

「まぁ」
 パッと‥‥彼女の背後に白い蓮華のイメージが見えた気がして‥‥

「ぐぅっ!」

 殺気を極力薄めた攻撃行動までも『浄化』され、反動で嘔吐感がこみ上げてきた。


「おい、こいつ全然反省してないよ!」
「マリアちゃん、アレやっちゃってよ、アレ!」
「そうだそうだ。舐められたまま返したらまた来ちゃうよ」

「え、えぇ‥‥?」
 マリアは笑みを崩して両の眉をハの字に曲げた。

「だいじょうぶ。マリアならできるって」
 親友さんが励ます。
「そういう問題じゃ‥‥」

「こ、こほん。企業の刺客さん、こちらをご覧くださいませんか」

「?」

「えいっ」
 ゆっさゆっさゆっさゆっさ
「お‥‥ぶげぇぇっ!」

 ジューシー特盛りのダブルメロンが修道服にシワを寄せながら揺れ弾む光景。
 脳裏に浮かんだ『犯す!』が『おかす?』に変わって
『おかス』『オかす』『オカス』『尾か酢』『緒科州』『OKASU』
 ‥‥汚れた心がゲロとなって口を出た。

「もっと苦しめてやらなくちゃ!」
「ちょ、ニキータ。そんな、ダメ、はしたないわっ‥‥ぁぁ‥‥」

 頭部のヴェールを取り外すとカラーも剥いて、修道服の背中のファスナーを引き下ろす。

「ダメだったらっ‥‥はしたない事っ」
「大丈夫だから。マリア、ほんとに大っきいんだもん」


「ブぐええぇっっ!」

 ブラは紫だった。
 中途半端にはだけた修道服から覗く紫のブラと膨らみ始めの稜線の影。背後のニキータと揉み合ってイヤイヤするが、抵抗しきれず露出が徐々に広がって丸いカーブが見え隠れする。体を前に折った弾みで深遠な谷間が大盤振る舞いで開帳された。

 シスターの癖に体がエロすぎ、と思う間もなく
「ごぉっ、げぇっ、ぐげえええ!!」
 次から次へとゲロが出る。

「いいぞーマリアちゃん! その悪党も苦しんでる‥‥おぇぇぇぇっ」
「ははっ、ざまーみやがれ! うちの大事なマリアさんに手を出そうっていうからこうなるんだ‥‥げろげろぉっ」

「うぅ、‥‥ほら、ビショップ大司教も何か言ってやってくださいよ!」


「ふぉっふぉっふぉ」

 さっきの白じじいが人垣の中からしゃしゃり出た。

「‥‥主も必ずや貴方の行いを―― おオえええ!! ゲロっゲロっ、ぐえぇぇぇぇっ!! ごぼぼぉぉぉ! ゴボ! ゴベエエエエェェェェェェェェェェ!!!」



「で、ネコは今日も例の店?」
「あぁ、そのようだ」
 マスターは肩をすくめた。
 カノンはカウンター席に腰をかけ、床に届かぬ足をブーラブラさせてストロングなショウチュウ・リキュールを召し上がっている。しかもストローで。
 給仕服も脱ぎ、客のいない穏やかな昼下がりを満喫していた。勤務中に酒をかっくらう従業員がなぜ怒られないのかは神のみぞ知る。

「神と言えば、」

 あれからネコは3度ほど教会の礼拝に出かけ、その全部で涙目になって帰ってきた。


「マスター、己は特訓に出かけてきます」
「はぁ、おいおいどうしたってんだ。任務でミスでもやらかしたのか?」
「ふぁ〜ぁあ、ねむ‥‥。あ、ネコじゃん。おはよー」
「おはようっていうか“おそよう”ですが‥‥あぁそうだカノンさん、もしよければ己の特訓に‥‥」
 そこでネコはカノンの胸をしげしげ眺め
「いや何でもありません」
「勘だけど、お前いま失礼なこと考えなかった?」
「‥‥行ってきます!」
「おい、こら」


 それからのネコの目撃報告はバック・ストリートの3−3−7丁目。
 近頃リニューアルした専門フェチ風俗店‥‥『ビッグ・ママ・ハウス』のある区画。

 ‥‥オープンしたての頃は店名を『メガ・ママ・ハウス』と言い、チャレンジャーどもが出かけて評価がきっかり二分するような店だった。その『二分』のうちの、店にとっては肝心の『一分(いちぶ)』の方の標本母数(シャレではない)がなにぶん少なく、経営は難局を迎えることとなる。
 しかしお店のママ(シャレではない)の一貫した経営方針が信頼を呼び、世の荒廃とともに男たちは生活の苦に癒やしを求め、さらには店の嬢たちが良い感じに年を重ねて包容力を増してきた。
 今では店の売り上げも上々で、二号店を出す話まで持ち上がっている。
 店名の変更も「前よりも語感が良くなった」とリピーター達に好評だ。


「マスター!」
「お、ネコか。久しぶりだな」
「金貸してください! 今! すぐ!」
「おいおい大丈夫か。信頼してないわけじゃあないが、‥‥お前さん、ハマってないか?」
 カノンがショウチュウを口に含んでアフリカ原住民の吹き矢よろしくストローから酒を射出する。が、ネコはそれを完全に無視った。
 なんだか眼が血走って危なくなってる。

「あ〜、ほら金だ。これが最後だぞ」
「サンキューマスター! これでゴリアデ・ママとメッサリナ毒婦からダブル・パイズリしてもらえるぞ‥‥!」
「あ、それと、おい! 最近なんだか宗教系の奴らがうちの店に嫌がらせをしにくるんだが心当たりないか?」
 先日も「バー・フォルテッシモのダンテとは貴様か!」と殴りかかってくる暴漢が出た。もちろんマスターの事だからワンパン・ワンキックで返り討ちだが。
「知りませんよ! サービス悪いのが原因じゃないですかねぇ! それじゃっ」


 閉じたドアを見ながらマスターは深くため息をつく。

「らしくねぇなあ、アイツ」
「どーすんの。潮時かもね。お金無駄になっちゃうよ」
「あぁ、実はアイツのこれまでの仕事にはマージンがあってね。それで浮いた分だけ貸しているから最悪でも俺の被害はゼロなんだ」

 カノンがズズーっとストローで酒を吸いあげる。悪酔いをする飲み方だろうに。

「しっかし‥‥巨乳に飽きて興奮しなくなるためにデカ乳の商売女と遊び尽くす腹なんだろうが‥‥」
「逆にどんどんハマっちゃってるようにしか見えないけどね」


「物にもよるがね。‥‥フェチっつーのは遅効性のシャブなのさ」

 マスターの両眼はどこか遠くを眺めてた。



 ここは今、ヨハン・ゼバス・バッハの『アリア』の音色に満ちている。
 彼のメロディーラインの編み方をバックボーンにすえるロック・アーティストも意外と多い。
 奏者の練度も手伝って、己は薄暗い筈の第二聖堂の壁に真っ赤な夕焼けを幻視した。

 ぱちぱちぱちぱち―― 。聖堂に乾いた拍手がこだまする。聖歌合唱や牧師の説教の通りを考えて、聖堂という場所は音が響くように作られている。
 ‥‥目の前の女の受け売りだ。

「あら、ダンテさん。今日こそ私達の兄弟になりに来てくれたのですか。いつでも歓迎いたしますわ」
 オルガンのフタを静かに閉めると、ヒザを折って西洋淑女の挨拶をした。体幹の角度や手足の動作がカチッと決まる。一朝一夕の仕草ではない。

「オルガン、上手いんですね」
「えぇ、ありがとうございます。3歳の頃から手習いですの」
 ニッコリ微笑む。
「貴方のさっきのバッハならともかく―― 聖歌の旋律は己には少々退屈すぎるようです」
 懐からスミスのリボルバーをチラつかせてみる。


―― 残念ですね。今日も貴方には恥をかいてもらわねばなりません」


 己は腰を低く構えてマリアをにらんだ。
 彼女はこちらを優しく見据える。

 重心を落とす。
 体重の反力で地面を蹴飛ばす。

 マリアが祈った。
 白い蓮華が宙に咲く。光が影を消していく。

「子らよ、真夜中であっても目を覚まして祈っていなさい。―― 主はいつお帰りになるか解らないのだから――

 彼女の祈りが光を放ち、結界がシュワッと濃度を増した。
「ぐぅっ!」
 思わずヒザが萎えてしまう。神にひれ伏す罪人のように、己は両膝を床に落とした。もう立てそうにない。

 殺気は極限に抑えていたが、それでも厳かな痛みが頭骨を穿(うが)つ。

 祈りのために組んだ彼女の両手に巨胸が左右から押されて膨らみボリューム感が強調される。
「うっぷっ」
 興奮が加算されて思わず嘔吐をやりそうになる。

「あら‥‥まぁ」
 紅潮したマリアは手を交差させてモノを押さえて横を向く。
 今度は横から爆乳のシルエットがクッキリだ。

「ぶぶっ」
 それでも己はにじり寄っていく。

『初めての発表会の時には、観客をみなジャガイモだと思えば緊張が消える』
という彼女からの話題に乗じて
『初めての人殺しの時には、相手の頭をジャガイモだと思えば気負いが消える』
と互いに有益な情報をレクチャーしあった事がある。

「‥‥」
 ジャガイモが脅えて微震した。
 胸のガードを少し開けてこちらの興奮を増やそうとする。無意識的に己の身を守ろうとしたのだ。
 その些細な隙こそがこのデカ乳シスターの命取り。


 己は懐から愛用の獲物―― にぶい金属光沢を放っている―― を取り出すと、それを即座に使用した。


「え」


 聖堂には少しばかりうるさい―― そして不釣り合いな―― 音がハウルする。




「あ」
 ニキータは目を見開いた。
 今まさに紫リンドウの花の一つが、モロッ、と落ちた。
 駆除剤の散布が甘かったのか。ネキリムシの成虫が茎をもぞもぞ這い降りている。

(これ‥‥)

 一際肉厚で、釣り鐘のカーヴが丸くて大らかな花。
 彼女はそれを親友のマリア・ロセウムになぞらえていた。

 散布剤を取りに行く間にネキリムシはどこかへ消えていた。

 しかし放っておくわけにはいかない。探し出して駆除せねば。

 花屋としての商売事情も当然あるが、あの花を食害したネキリムシを彼女は到底許せない。

(見つけて、コロす‥‥)

(どんな手を使っても)



「え」
 マリアはあっけにとられた顔をする。
「何が、なんだか‥‥解らない、って感じですねっ‥‥!」


 手首のスナップとともに、己の手にあるアイテムからはオモチャじみた音が出る。


 ジャラポン♪


 ジャラララジャ♪

 ―― 実際それはオモチャなのだから。


 びっくり固まったマリアは虚空を描いて飛んできた玉虫色の筒をキャッチできずに取り落とす。
 そのまま放っておけば良い物を、お行儀良く拾い上げて調べてしまう。
 アルミの六角柱の内部で幾多の鈴が転がり響いてガラジャラうるさい音を出す。それは、いわゆる「ガラガラ」だ。

「‥‥マ」

「え?」

「ママーーー!!!」


「きゃ!」




「はぁ‥‥やんっ! ダメ。服なんか舐めたら汚‥‥ふぅんっ」

「ちゅぱっ♪ ん〜〜〜ちゅっ、ちゅるっ」

 修道服の上からポッチと浮いてる乳首を舐めた。
 濡らせば濡らすほど浮きがますますひどくなる。

 ほこりっぽさが舌の上にざらつくがそんな事は気にならない。ここ数日間の条件付けにより、吸乳は必要な愛情と栄養の摂取行為だった。
 その証拠に己の股間はちっとも勃起していない。邪心はゼロだ。

「ちゅっ、ちゅっ」

「あ、こら、ぁん」


 マリアが堂の床に腰をつく。

 服の脱がし方は知っている。背後のファスナーを引き下ろして肩から出そうとする―― 脇を締めて抵抗される―― ファスナーを尻の上まで引き下ろして入り口を大きくし、服の下にもぐりこむ。
 蒸れた雌肌空間に突っ込んだ。

「ぁ、だめでしょうっ。おこり、ますよ‥‥!」

 肘から先だけのポカポカパンチを服の上からお見舞いしてくるが、ブラをずらしてナマ乳首を唇で食むと、

「やあぁぁぁ」

 それも止む。

 服の下で暴れる害虫を彼女はどうしようもなく、己は思う存分食い荒らす。
 たっぷりした乳が服との板挟みで頬に押し寄せ、とっても息苦・気持ち良い。大切な乳首を傷つけないよう唇でコートしながら甘噛みするが、硬化した乳首の先を舌の先っちょでいじると女体がもぞもぞくねってその反発感さえ愛おしい。

(あぁ、美味しい‥‥)

 お店のママ達と違って乳液は出ないが、咥えてるだけでも舌の上にカブトムシ飼育のシロップが垂らされたようにホノ甘い。
 いつもの癖でアゴを使って食むようにすると、その強めの刺激がツボにくるのか母体の身もだえが激しくなった。
 ようやく服を脱ぎ終えたマリアが己からおっぱいを取り上げようとする。

 乳首を外されるのは口さみしいので必死にアゴでくわえこむ。切実に口の中に吸い込もうとした。
 モチのようにぐにょんと伸びた。

「あっ、だめ! こんなの、ぁ、ぁぁぁっ!」

 マリアの背中がエビぞった。



「ん‥‥?」

 指輪が半分。

 こんなことは初めてだった。1本のドーナツの面に沿ってナイフを入れ、『インチキ・ドーナッツ』2つに増やす遊びは子供なら誰でもやるだろう。
 マリアの能力の指輪がちょうど上半分だけの『インチキ・ドーナッツ』として己の指に嵌まってる。

「はぁ‥‥はぁ‥」
 脅えた目で、壁を背に胸のはだけを両手でかき抱く仕草で―― それは逆に雄をそそらせる仕草というのに―― こちらを見上げていた。

 懐からスミスを抜こうとしてみる。
「おおおおお!」
 頭が痛い。割れるように痛い。結界は未だ顕在だ。

 ならば紫のブラ紐や横にはみ出た白い乳肉を凝視して息子を立てる。ジッパーを下げるとウィンナー君がボロニアと出た。

「痛くナーイ♪」
 チャック全開で逸物を出してミュージカルのポーズをビシッと決めた。
「ひっ!?」

「性交と絶頂が中途半端だったのか貴方の神の底力なのかは知りませんが、能力の奪取は半分だけ行われたようです」
「来ないで、ください‥‥っ!」
「殺せはしないがレイプだけは自由な御様子」
「来な、いで‥‥っ!」

 ガラガラ♪ ジャラジャラ♪


「あ‥‥」

 大蛇がしぼむ。
 彼女が棍棒がわりに拾い上げたガラガラの音色が己の蛇を大人しくさせる。インド人もビックリだ。

「‥‥」
「‥‥」
(くっ)

 力攻めで組み伏せてみる。
「やっ!」
 しかし条件付けのため母性が強く投影されてチンポが上手く立ち上がらない。
 ‥‥ええい、こうなったら言葉責めでイカせてみせる。

「マリアさん、良いんですかねぇ。敬虔なクリスチャンの貴方がこんなスケベな真似をして」
「‥‥っ。犯したいなら犯しなさい。それで貴方の心の霧が晴れるなら神はきっと許してくれますわ」
 ここ一番でなかなかの胆力だ。

「たっぷり焦らしながら‥‥そうだなぁ、踏み絵をさせてあげますよ。あんあんエッチな声を出しながらキリストの肖像を踏みつけて蹂躙するんです。いやぁ楽しみだ」
「カソリックじゃありませんので聖像や聖画の類いはありませんわ」

「‥‥っ! ああ言えばこういう。懺悔室で貴方のやらしい告白を白状させるのも面白いでしょうねぇ! さぞかし裏ではいやらしい妄想や行いにふけっているのでしょう」
「懺悔室もカソリックの風習です! プロテスタントには懺悔という制度自体がありません」

 言葉によどむとマリアがそっとガラガラを振った。

「ぅっ」
 さらに小さくなる愚息。

「‥‥おっぱいですよ〜」
「おぎゃあっ!」

 柔らかい胸にちゅーちゅーと吸い寄せられてしまう。
 おっぱいも、自ら差し出す分には抵抗がないのかマリアは余裕しゃくしゃくだった。
 ‥‥優しく後頭部まで撫でてきやがった。このままでは己はこいつにマザコンにされてしまう。


「くっ! これは己の音楽(ロック)では無い!」
 ガバッと離れる。
「あら。もっと召し上がらなくてよろしいの?」
「う」
 美味しそうでむしゃぶりつきたくなるデカおっぱい。授乳のポーズで捧げ持たれるとまたどうにも吸いつきたくなる。

「っ‥‥!」
 誘惑を断ち切り一足飛びに離れて仕切り直すと己は右手の中指に指輪を嵌めた。能力の濫用はもったいないが、こいつをどうにか懲らしめなくては仕方ない。


 アリスから頂戴した指輪。歴史に埋もれた子供の空想の力を具現化する能力。「シークレット・ガーデン」と名付けよう。

 己は指輪の力で‥‥祖国ジャパンで一番の賢者を呼び出した。




 テレッテテッテ〜テェ〜ン♪ ジャ〜ン!
「ぼく一休! みんなからは『トンチ坊主』って呼ばれちゃうんだ。好きな物は水アメ! 苦手な物はクモとカミナリと、お師匠様。あ、いけねっ、これは内緒だよ! てへ!! 今日もみんなをハッピーにするためぼくのトンチを貸したげる! それも偉いお坊さんになるための一歩だもんね!」

 ジャパニーズ・ワイゼスト・モンクであるとこの彼は、キラキラしたデフォルメお目々をパチリとウインクしてみせた。


「ぼくの友達を紹介するよ。おーい、黙念!」

 似たような法着の小坊主が出た。
「おいらの名前は黙念。ちぇっ! なんだよなんだよ一休ばっかりお師匠様から褒められて。いやんなっちゃうなー。でもまぁ仕方ないか。一休は賢いもんな! 今日も頼むぜ一休! でもおいらにも出番を作ってくれよ?」
 これまたデフォルメ調のヤツで、3等身の低い体と小さな目、出っ歯の顔をハスに構えて、架空の石を蹴飛ばした。


「最後の友達を紹介するね。おーい、陳念!」


 海に捨てた生ゴミのような匂いが満ちた。
「ゥっしゅるゥゥ‥‥‥」
 海草のごときヌメヌメした頭髪に覆われた巨大なそいつは、丸太ほどもある腕を伸ばしてオルガン奏者用の椅子をつまむと―― ブラックホールのような口に放り込む。

 もぐもぐ‥‥
「ま‥‥ず、い゛‥‥」
 ペッ、と吐き出し、ガツン、ガッガッと椅子がタイルの床に跳ねる。サカナの小骨を吐いたかのようだ。


「あぁ‥‥なにゆえ陳念だけそれほどキャラが違うのですか‥‥」

「「「!」」」
 3人の視線がギョロッとマリアに向けられる。
「ネコさん、その女を押さえて!」
「お、おう‥‥」
 己は彼らに対する言葉使いを決めかねていた。‥‥こいつら距離感が難しすぎるよ。
「なに‥‥を?」

「おーい、ちんねーん! ここに美味しい肉があるぞー」

「‥‥」

「あー、しょーがないなぁ。まだ人間の言葉を覚えないみたいだ。おーい、黙念。あそこのオルガンを鳴らしてこいよ」
「ちぇっ、また俺がパシリかよ」

 ぼやきつつも黙念が行き、ドレミファソラシドを順に鳴らした。

「ふ、ぐもおおおお!」

 よれよれの布服‥‥というか単なる巨大なボロ布というか‥‥の上からでもハッキリ解る程、逸物がクッキリ浮かび上がった。

「‥‥‥」
 現実感の伴わない極端なスケールの現象に直面したとき、人は往々にして思考を止める。この女もそうだった。

「陳念はドレミファソラシドの音を聞かせるとチンコが最大限に勃起するんだ! 一休豆知識♪」

「‥‥‥‥‥」
 顔面蒼白で凍り付いたままのマリアを羽交い締めで固定する。


 ドミソ・ドミソ〜♪

 「ドミソ」が「ススメ」の符号なのだろう。黙念がドミソ♪を一回演奏するたびに陳念の巨体が一歩ずつ着実ににじり寄ってくる。ドシン、ドシン、という足の裏にくる振動とともに。


 レファラ〜♪

 陳念がその大きな手で、やりづらそうに自分の下腿部の布きれをほどききる。

 ソッ・ミッ・ド〜〜♪

 軽快な音と共に陳念が女のファック体勢に入る。腰をかがめて狙いをつけている。きゃつの目は重厚な前髪ワカメに阻まれ見えない。湯気のように噴出される鼻息吐息が生ぬるい。


「い‥‥いやあああああああああああ!!!」

 急に現実感を取り戻したマリアがイヤイヤ暴れる。なかなか体重があるので振られそうになるが、男のパワーを跳ね返すほどではない。
 押さえつけ甲斐がある感じだ。

「いや! 離して! あんなの入れられたら死んでしまいます!!」

 そこに一休が脳波を通じたテレパシーで語りかけてくる。
 ‥‥己は言われたとおりの行動を取ることに決めた。

 指を鳴らす。

 ミソシッ♪ 陳念の動きがビクッと止まる。

 そこで彼女の耳元にそっと口を近づけた。
「マリアさん、彼らも慈悲深い仏教徒です」
「え‥‥?」
「貴方が本日より御仏の加護の元に生きる事を決意すれば、‥‥窮鳥(きゅうちょう)懐に入れば猟師も殺さず、の教え通り‥‥きっと貴方にも寛大な慈悲をくださるのではないでしょうか」
「主の教えを捨てろとおっしゃるのですか‥‥!?」
「いえ、己としてはどちらでも良いのです。貴方の無力化、それだけがこちらの任務ですから。セックスすれば用は足ります。あとは単に貴方の問題でしょう」

 また指を鳴らすと黙念がオルガンを弾く。
 ソミド・ソミド・ソミド〜♪

「グ、ぐ モ ォ ぉ ォ ‥‥!」
 巨大な怪物坊主が重たげな排気音とともに再起動する。

 己はそいつがぶち込みやすいようにマリアの脚を広げてやった。


「やだっ、だめっ‥‥! わ、解りました! 仏教に入りますから止めてください!」

 横で一休が満面の笑みを浮かべてる。
「別に信教は個人の自由ですし、無理に鞍替えしてもらわなくたって結構です。陳念もこのところ肉(エサ)を与えていないから、そろそろどうにかしなきゃって思ってた頃ですから!」
 陳念の、何かでネバネバして光っている不気味なデカ指がマリアの喉から下腹をなぞる。‥‥ちょっと力加減を誤ればそのまま彼女の腹を内蔵ごと潰してしまいそうだ。
「‥‥お姉さんがよっぽど入信したいというなら話は別ですけどね!」

「入らせてください! 仏教に! 入信したい!! お願いですからっ‥‥! う、うわああああぁぁん」
 マリアはさめざめと泣き出した。



 その涙のスジも今では目から眉毛の方へと伝い落ちている。

 マリアは椅子に逆さ向けに縛られていた。

 ブラを残して丸裸だ。背骨が不自然に歪んで苦しそうな体勢にさせられている。その手や腰は椅子をまたいだ反対側で麻縄を使ってきっちり固定されていた。両方の脚がY字になって、ヒザから先があちら側へ折れ曲がっていた。

「お加減はどう? おねーちゃん」

 彼女の『新しい頭』には白いクリームがたっぷり盛られ、鋭利なカミソリでジョリジョリとヘアを剃毛されている最中だ。

「〜〜〜っ」

 答えようにも彼女の口腔は一休の勃起チンポで満たされている。

「あれ〜、口がお留守になってきたよ〜。仏教徒たるもの舌筋(ぜっきん)の持久力は大切なのに」
「ふぐうっ!!!」
 一休がオサネをカミソリ刃のカドでぐりぐりえぐった。

 またフェラチオが熱心になると、一休の顔が快にほころびウットリとした。
「ふぅー。そうそう。やればできるじゃない♪ それじゃ剃髪を続けるね」
 いやらしい手つきで女陰のまわりをジョリジョリやるとマリアがたまらず喘ぎを漏らすが、気を抜くとすぐに冷たいカミソリがサネにあてられ女を脅す。
「あはは。カミソリなんかで感じちゃって、やらしいね。それでも神のしもべかな。変態で淫乱のニセシスターさん?」
「やっ、ぁっ!」
「お汁でクリームが流れちゃうじゃない。新しいクリームを入れないと」
 一休が『お釈迦さま御用達 仏教クリーム2000ゼット』の銀缶を振るとブリュゥゥッと新しいクリームを盛りつけた。
「ゃっ!」
「冷たいでしょ。菩提樹から採取したマイナスイオンが女を最高に感じさせる低温で患部をヒンヤリ冷やすんだ」
「それはほんとに仏教用品なのですか‥‥?」
 ブリュゥゥゥ!!
「やんっ!」
「ほ〜ら残りのお毛毛も剃り剃りしちゃうね〜」
「くっ、ぅぅぅっ‥‥」


 その嗜虐的な光景が己の獣性を覚ましつつある。


「おい、一休。そろそろ己に変わりなさい」



「ふ、ぅぅん‥‥」

 なかなか剃り終わらない理由が分かった。このカミソリ、見かけに反してあまり切れない。取っ手に刻まれたロゴ『妖刀 鬼キリ丸(ドクロマーク』は詐欺も良いとこだ。
 そして剃毛にも意外とコツがいるもので、女陰の複雑なカーブを傷つけないよう注意を払う。
 関係無いけど『仏教クリーム』は魂が底冷えするほどの低温だった。ドライアイスみたい。

「くっ」

 もごもごとフェラチオ奉仕されると己の股間がむずがゆく、手がブレそうになってしまう。
 するとさっきの名残でそれが脅迫に感じられるのかマリアの舌技が強烈になった。熱い口腔の中でたっぷりとベロをなすられる。

「ぅぉ‥‥」

 カリ首のくぼみをベロ先で一周するのはどこで覚えた技なのか。刺激が強くて腰が引けてしまった恥を誤魔化すように己は必死にイマラチる。

「あんっ‥‥はぁっ」

 マリアの吐息が紫に見えた。なんとなく。
 上下逆なのでベロが亀頭に上からかぶさってくる。

「んっ、おぉっ‥‥、ぐっ‥‥ぉっ‥‥おっ」


「んおぅっ!」
 ケツとチンポの中間あたりで何かがはじけた。
「んんん〜〜〜っ!」
 精液が鼻へ抜けてくようで逆さのマリアは盛大にえづいた。



 黙念にも遊ばせてやることにした。己はインターバルで見物に回る。

 ほどき直すのは面倒で、椅子ごと倒して脳に血液を戻してやって彼女の体を休ませたあと、またおなじみの逆向けにした。

 逆さのままで両手だけは縄からほどく。

 その豪華な谷間を寄せさせ中央に男根を抜き差しすると指先で女陰をちくちくいじる。

「あぁ、最高だよ巨乳でパツキンのお姉さん‥‥! 僕、もうチンコからいやらしい汁が爆発しそうだ!」
 随分とゴキゲンにファックしている。

 BGMとして陳念―― 今は自動制御モードに設定されて―― バチを親指と人差し指の先でつまみ、木魚と金鉢を交互に叩く。

 チーン♪ ポク、ポク、ポク、ポク‥‥チーン♪ ポク、ポク、ポク、ポク‥‥


「僕の感謝の印を込めてお姉さんに念仏を唱えてあげる!」
 そう言うと黙念はマリアの女陰に口をピタッとつけて、彼女の子宮へ念仏を流す。
「ぎゃーてー、ぎゃーてー、はんらー、ぎゃーてー」
 マリアは目をぎゅっとつむって耐えた。必死に声を殺そうとしている。
「あーみーだー・にょらい・さんぜー・こーいー」
「っ‥‥‥!」
「はんにゃー・はーらー・みーたー」
「っ‥‥」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「れろれろれろれろれろれろれろれろ」
「はぁんっ! それ、絶対っお経じゃっ!」
「はぁ? お経だし! ‥‥密教の。レロレロレロレロレロレロレロレロ!」
「うっ、くぅぅん!!!」


「あーぁ。また雑念を宿しちゃったねー。黙念どいて」

 一休の持つ警策(きょうさく)―― いわゆる座禅のしっぺ棒―― が空中でロールするほど反動をつけられ、一挙に‥‥パッッッチィィィィーーン‥‥と乾いた音を辺りに響かす。

「唖闇(ああん)!!」

 マリアが仏教的な悲鳴を上げるとおっぱいの下面に赤い四角のアザが浮く。さっきは右のパイだったから今度は左。

 警策(きょうさく)がペチペチと下乳を撫でる。
「“ありがとうございます”は?」

「ありがとうございます‥‥」

「はぁー。やれやれ。こっちは貴方の邪念を落としてあげてるんだよー。そんな気のない返事をされちゃ困るよね〜。もっと邪念を落とさなきゃ悟りの神髄は一生たっても見れないよ。黙念」

 黙念がマリアの両モモをぐいっと左右に広げ割る。股関節が柔らかいらしく、力を込めると180度近く開いた。

 そこに、

 パッチィィンっっ!!


「〜〜〜〜〜〜、ぅ〜〜〜〜っ!!!」

 つるつるのマンコウに邪念を落とす一撃が入った。マリアは歯を食いしばって尋常ならざる痛みに耐え忍ぶ。


「さぁ、おねーちゃんがあのチンチンポクポク500周期回るまで無言でいられなきゃ何度だってやり直しだよ」

「へへっ」

 黙念がまた爆乳の間でパイズリファックしながら女陰をちろちろ舐めしゃぶった。

「ちょっと、待って‥‥! もうとっくに500回は音が鳴ったわ!」
「あれー。お姉さん、しゃべっちゃったねー。あと1回でクリアだったのに。黙念どいて」
「ひ‥‥‥ああん!! ‥‥うぅ、いたいよぉ‥‥うっ、うっ、うっ」
「しょーがないなぁ。それなら次は僕が1個ずつ数をかぞえてあげる。それなら文句ないよね」

 彼女の下乳はあちこちが真っ赤に晴れ上がっていた。マンゴウも。

「1〜」
「2〜」
 ピチャッ、ペロッ、ペロッ‥‥木魚とマンゴ舐めの音と数の数え上げの声だけが響く。
「10〜、11〜」


「152〜」
「153〜」


「371〜」


「408〜」


「497〜」
「498〜」
「499〜」

 ここで一休は木魚を鳴らす陳念に向かってブロック塊の生肉を投げた。陳念は木魚セットを放り出すと、がっついて生肉をむしゃぼり食い出した。

 マリアの顔が絶望に染まる。

「へへ、お姉さん。おいらのテクも捨てたもんじゃないんだぜ」

 黙念がお線香の束の入った透明プラケースを取り出すと丸ごとアナルに突っ込んでかき回す。
「っ‥‥」
 だが彼女はすんでのところで絶叫を耐えた。

「お、頑張るねぇ」

 彼は懐からライターを出すと、取り出した線香の一本に火をつけ女のクリャトリスに押しつけた。

「ひぎゃあああああああああああああ!!!」


「唖歯歯歯歯歯歯歯!! 残念、残念♪」
 黙念は漢字の表記通りに歯列を横にズラッと並べた邪悪な笑いをして見せた。



 最後はオーソドックスに結合で決める。

「これで己を満足させたら解放してやる」
 そう告げるとやけに協力的になった。倒して前からそっとアレを断ち割っていく。

「あぁ‥‥」
「ん‥‥‥」

 ねっとりとして熱かった。腰は適度にくびれていて、少しだけ砂時計体型だ。骨盤が大きく肉付きが良いので安定する。食い応えのするモッチリモチモチした体。

「どうですか。己の聖なる仏教チンポの味わいは」
 適度におどけてみると、ノッてくれた。
「んふぅっ、貴方も仏教徒だったのですか‥‥」
「や、違いますけど‥‥ふぅっ」
「適当ですね‥‥でもこのまま変な者の中に一人で放り出されたら気が狂ってしまいそう‥‥あん」

 マリアが腰を横にひねろうとしてるのが解った。なんとなく察して気を利かす。
「四つん這いになりなさい」
 そのまま回して後ろからの体位になって、胸に劣らずボリューミィな尻肉をパンパンと打った。
「ぁぁぁぁぁ‥‥」
 一打ちごとに彼女の背筋がダイナミックに反る。

 後ろから乳を鷲づかみにしてピストンを愉しむ。肉の海にたゆたうようだ。

「どうだっ」
「んん‥‥犬みたい。ワンちゃんの、オスとメスが、くっふぅううう」

 ボルテージの高まりを確認すると、マリアの両手首を捕まえて後ろに引っ張って彼女の背筋をうんと反らす。アメリカンバイクのウィリーみたいに。可動域を殺して逃げられなくし、何度もピストン打ち付けた。

「あぁ、ダメですっ、こんな‥‥」
「逝くぞっ!」


「KYAAAAA!!!」
「UOOOhh!!!」


 濃厚なのを噴射する。
 脈動のたびに彼女は頬を左右に乱した。

 右手には新しい指輪が作られていた。




 二人して泥のように倒れ込む。

 陳念は生きたトラを貪り食っている。一休が屏風の中から追いだしたヤツだ。その証拠に虎が抜けて竹林だけになった屏風が教会の壁に立てかけてある。

(‥‥あ、どういうトンチで虎を屏風から出したんだろう)

 その肝心のシーンを見逃してしまった事を少しだけ残念に思う。

 その成獣の虎は四肢と牙を駆使して逃げようとするが陳念の手にかかれば子猫も同然。絶望の眼(まなこ)を天窓付近のステンドグラスへ向けていた。

「陳念、この女を食べても良いですよ」
 己からの提案に
「え」
 と言ったのはマリア。裏切り者を見るような目だ。

 沢山射精したらどうでもよくなっちゃった。己には姉ちゃんがいるし。

 黙念がオルガンの方にいき、翻訳役を買って出た。

「陳念に伝えたいメッセージを言ってよ。おいらがオルガンで陳念への命令語として翻訳するから」

「あー、それはありがたいですね。では、次のメッセージを彼に翻訳してください。
『陳念さん、ご協力いただきありがとうございました。虎を食するのも結構ですが、ここに一人の女がいます。お気に召せば食べてみてはいかがでしょう。‥‥おっと、その虎のようにリアルに食うのは無しですよ。あくまで性的な意味でです。それと回りの教会備品も壊さない方が良いでしょう。こんな世の中だからこそ、物品は節約して使いたいので』
 ‥‥どうでしょう。このメッセージを翻訳できますか」
「うん、任せて任せて。それじゃいっくよー」
 黙念が己のメッセージを怪物あてに翻訳する。


 ド〜〜〜〜♪

 ‥‥己のメッセージはオルガン語ではたった一音だったらしい。

 それでも一応伝わったのか「ゥがァ‥‥」と返事すると陳念がボリボリとケツを掻きながら立ち上がる。


「そんな、約束が違います‥‥それは許してくれるって‥‥!」

 巨体がのっしのっしとか弱い獲物に歩み寄る。

「おっと忘れてた!」

 ドレミファソラシド〜♪

 陳念の逸物が殺人的なサイズにそびえ立つ。‥‥くどいようだが己のメッセージはオルガン語では「勃起しろ」より短かかった。

「そんな、やだっ‥‥」

 マリアは腰が抜けて立てないらしい。のろのろ這っているところを陳念の巨大な手につかまった。
 バービー人形にチンポをぶち込もうとするオラウータンかゴリラみたいだ。股を開かれ巨根がのっそり狙いを定め、

「きゃあああああああああああああ!!! ああ‥‥‥」

 マリアが失神し、

「‥‥‥」

 幻想の3坊主どもが空にかき消えるのがほぼ同時。


 生き物を呼び出す能力「シークレット・ガーデン」の効果時間の終了だった。



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