今年の入試の採点をしているときに、二人の教授が興味深い会話を交わしているのを耳にした。
それを英文にして、ここに掲載する。
要旨はこうだ。
教授Aが、以前学生たちとスキーに行ったときのことである。Aは「さあ、これから自由に滑ろう」
と言った。ある女子学生が。「先生。自由に滑る滑り方はどんな滑り方ですか?」と訊いた。
この女子学生は、とても上手で、おそらく女子学生の中でもっとも上手なスキーヤーだと思う。で
も自由に滑る滑り方のお手本がないと滑れないというのだ。言い換えると、この女子学生は、ス
キー・スクールでしか滑ったことがなくて、先生や上手な人のお手本をまねて滑ることしかやった
ことがない。このA教授は、こう思った。「この女子学生は、自分でスキーそのものを楽しんだ経験
がないのではないか?スキーをして指導員に褒められることを楽しむだけなのだ」と。
翻って、教授Aは言う。「ぼくらも一体どれだけ、自ら楽しんで教えているだろうか?」と。