「思春期の子どもとどう接するか〜性の問題について〜」


聖書 Tテサロニケ4章1〜8節〜神のみこころにそった性意識と性行動


チャールズ・スウィンドル著「性といのちの問題」(ことば社)を参考

当時の一般的性倫理:「快楽のための売春婦、欲望のための愛人、子孫のための妻」

@ みこころの中心:性的聖さ→不品行を避ける等の結婚の尊重(3節)
A 個人のレベルで:体を聖く保ち、情欲におぼれず(4,5節)
B 社会的レベルで:(性において)兄弟を踏みつけず、欺かず(6節)
C 召しの目的 :(性的にも)聖潔を得させるため(7節)
D 命令の厳粛さ :命令の拒否は神への拒否(8節)

クリスチャンの使命:性的聖さを@自ら実践し、A社会に証しし、B次世代に継承すること
信仰同様、性的聖さは自己充足に終始してはならない。

今回のアプローチ:@子どもを取り囲む現状を知り
Aこどもたちの実際の性意識を学び
B現実的かつ聖書的な指導を模索する


〈1〉子どもを取り囲む状況
〈資料〉中高生の性に関する情報源(100%=845人、複数回答)
雑誌(73.6)、校内の友人(68.3)、テレビ(60.2)、授業(19.8)、校外の友人(19.5)、
一般書籍(9.8)、アダルトビデオ(6.5)、親(3.1)、その他(2.1)
友人の情報源自体がマスコミであるので、実質上の情報源はほとんどがマスコミと言える

(1) 情報源としてのマスコミ
商業主義的なマスコミの提示:快楽中心、興味本位、人格無視の性
(例)少女雑誌のロストバージン記事:妊娠の可能性、性感染症に関しての情報は皆無。
10代のセックスマニュアルは、アダルトビデオ

(2) 社会的背景
ポルノ文化の氾濫:日本社会は異常、「見ないで済む自由」、未成年への保護の問題
大人世界の性倫理の堕落:社会、教育、家庭の指導者が模範を示し得ぬ現状

これらに対しての親、学校、教会の使命(啓蒙と保護)が問われますが...

(3) 親の状況
「わが子に限って」「その内自然に」「寝た子を起こすな」は依然多数派
現状認識の甘さと家庭としての教育機能の放棄

(4)学校教育の状況
学校性教育の一面性:性器教育か?人格的、社会面、実際面の欠如
戦後の性教育の所轄省は?医学面、個人面、知識面への偏りは当然か

(5)クリスチャンホームと教会
家庭と教会内での性教育実践の乏しさ、日本人による出版物の乏しさ
神学校における性、結婚、家庭に関する指導の乏しさ
近年、中高生、青年クリスチャンの性に関しての世俗化は明らか、その責任の所在は?

まさに、子どもたちは「飼うもののない羊」の状態。
私たちは、道を教えることを怠りながら、倒れた者に石を投げてはいないでしょうか?


〈2〉実際の性意識

(1)その一般的特徴
@分離し得ぬものとの分離:愛、人格、責任、秩序(結婚)等との分離
A偏った知識:異性の心理、妊娠の可能性、性感染症等については無知

(2)性行動の動機について
@性行動を迫られた場合の女子の反応:3カ国の比較(順に、日/仏/米)
「なんとなく受け入れてしまう」 76/44/34
「はっきりと意思表示する」 18/23/39
「強要されても断る」 6/10/27

A性行動(広義での)の動機
女子: 愛(50) 強要されて(13) 何となく(13) 好奇心(12) 性欲(7) 遊びで(5)
男子:性欲(43) 好奇心から(18) 遊び(15) 愛 (13) 何となく(9) 強要されて(2)

B受け入れる女子の心理
「愛してくれているから」「断るとかわいそう」「断ると嫌われる」

以上から、女子側の主体性の欠如、相互の異性理解の欠如は明らか
子どもを取り囲む状況がそのまま意識に反映、その意識によって実際の性行動が!


〈3〉現実的かつ聖書的指導は?

(1)聖書的性意識の確立(まず、親と指導者自身から)
聖書が示す本来のあり方:創世記1:27〜31 
@人間形成に関わる本質的なもの、性を成長のプラスとして
(例)性器いじり、お医者さんごっこ、スカートめくりで学ぶこと
→同一性、人格性、異性理解、社会性、倫理観、忍耐等

特に、思春期の性的葛藤は必要なプロセス(避けることより、理解と協力を)
克服方法として、信仰と勉強に追いやらないこと→性と人間関係の歪み
(例)高学歴者、信仰者に多い性と結婚への不適応者


A神様から人類への聖なる祝福として
F.B.マイヤーによる名言:「性が汚れているのはなく、性を汚れたものと考える
頭脳が汚れているのだ」
性自体は罪でなく祝福、性の誤用乱用が罪、
厳格なクリスチャンホームに子弟の性的罪?(厳格すぎる教育、建前主義?)
性自体の罪悪視、禁止と抑圧中心の指導→逆に性意識の歪みを生ずる
(例)プレイボーイの創刊者は厳格なクリスチャンホーム子弟


(2)正確な知識の伝達
「寝た子を起こさない」→(既に歪んで起きつつあるので)「揺り動かそう健やかに」
正しい知識を持つことが、軽率な性行動の防止(避妊知識も同様)その傾向は明白
むしろ、性的無知、誤った知識、偏った知識が性的不幸を生み出す。
偽りの前に本物を提供すること、氾濫する性情報の取捨選択能力を与えることが大切

中高生最大の問題、性と恋愛から逃げていると→福音と教会への不信、
「臭い物には蓋をしろ」的態度→クリスチャンの偽善と建前に嫌悪感

(3)夫婦のチームワーク
@ 一般に夫婦で片方は過敏、主観的、もう一方は慎重、客観的
→両者で協力して当たることがよいバランス。

A愛し合う夫婦から学ぶもの:性と人格、愛、家庭の結びつきが自然に身につく
(例)スポーツエリートによるレイプ事件の原因:家庭生活の欠如?

B理解ある同性どうしで
特に男子については父親がポイント、
母親が男子の性について指導する場合の困難→絶大な心理的影響
(例)ポルノビデオや雑誌を発見した母親の取るべき判断、行動は?

C日頃からの夫婦の信頼関係、協力体制が問われます。
特に未信者の御主人と息子さんを持つ母親は最大限の努力を。


(4)子どもの人格を尊重
創世記2:24:子どもは親に従いつつも分離する存在→人格と自主性の尊重を

不必要な干渉せず、必要な指導はする「指導はすれども支配せず」
試行錯誤と葛藤を避けるための干渉でなく、その中で成長を助け支える指導を

(5)具体的な方法は
@親、指導者自身による聖書あるいは聖書的書物からの指導
A性に関する講演等、教会外でも良心的なものはあるようです
B性に関する良心的書物、資料等の提供