3月10日横網町公園の東京都慰霊堂と3月11日東日本大震災とポケモンGO

写真

2017/03/12（日）

私は毎年、3月10日の東京大空襲の前後に東京都慰霊堂にお参りし、
8月15日の終戦記念日の前後に千鳥ヶ淵戦没者墓苑にお参りしています。

でも、一昨年の2015年は仙台で猛烈に働いていたのでお参りできず
3月10日に一時的に東京に戻ろうか迷っていた時に、周囲の人々は当然ですが
直近の災害である3月11日の東日本大震災に思いをはせていて
人の住む地域によってメモリアルデーの認識が異なることに驚いたものです。

今年は3月10日（金）は平日で働いていて、3月11日（土）は東日本大震災の式典をテレビで見ていて
3月12日（日）に東京都慰霊堂にお参りに行きました。

使用
カメラ

FUJIFILM X-Pro2

■3月12日横網町公園の東京都慰霊堂

東京都慰霊堂のある横網町公園に入って、まず最初に驚いたのが
例年と比べて明らかに参拝者が増えた。

東京都慰霊堂は関東大震災と東京大空襲の無縁の犠牲者の遺骨が納められている場所で
時が経つにつれ参拝者も減っているのですが、今年はなぜか大勢の人で溢れかえっている。
もしかして、テレビなどの影響で東京大空襲の惨事を忘れないことの大切さに皆が気がついて、
大挙して慰霊堂にお参りに来たのかと思った。

東京都慰霊堂が皆に大切にされている。ようやくこの日が来た、と。
純粋に感動して思わず涙が出そうになりながら、多くの人が集まっている風景を記念に撮影していたのですが
よく見ると、何かがおかしい。

なぜかみんな一心不乱にスマートフォンを操作していて、しかもほぼ全員が歩きスマホ。
歩いている方向も慰霊堂とは関係なく、てんでバラバラで、そもそも誰も慰霊堂には関心が無い。
なんだこれはと思って、ちょっと歩きスマホをのぞいてみたら、なんとポケモンGOですよ。
青天の霹靂とはこのことで、感動していたところから一気に醒めてしまいましたが
まぁでも当然ですよねと、素直に納得はしました。

■東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑とポケモンGO

ということは、「東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑」の前で座っていた人々も
もしかしてと思って、わざわざ見に行ったら当然ですが全員ポケモンGO。
見事なまでに、座っている全員がポケモンGOでした。

私は後姿だけを見て勘違いして、平和な現在にありがたみを感じながら
遠い昔の惨事に思いをはせる人々だと思っていましたが、そんなわけありませんよね。
70年近くが経った東京大空襲は、若い人々がそこまで実感を伴う歴史ではないのです。

■東京都慰霊堂でお線香をあげてきました

ポケモンには興味がないので、すぐに慰霊堂に入って、心を静めてお線香をあげてきました。
私の横にいたご年配の方は両手を合わせて長いこと祈りをささげていました。
数年前の8月の千鳥ヶ淵戦没者墓苑では、静かに古い歌を歌っているご年配の女性がいて
そんな方々の真摯に昔を偲ぶ姿には、心の奥底から共感するのです。

東京都慰霊堂でポケモンをするなとは、私は言わない。
ある意味、平和を象徴している現代的な風景でもあると思う。
空襲があるわけでもなく、治安が悪いわけでもなく、外で安心してゲームに興じられる。
それだけでも私たちの文明が正しい方向に発展して来たことを実感することができる。
そんな世の中を築いてくれたご先祖様に対するありがたみを実感することができる。

それでも、メモリアルデーの前後だけは、少しだけ配慮をして欲しいと、私は思うのです。
お参りに来る人々に対して共感してくださいとまでは言わない。
この国がここまで発展する土台に、沢山の犠牲者がいることに人それぞれの思いがあるわけで、
それらに対してほんの少しだけ、配慮をして欲しいのです。

東日本大震災の慰霊碑で、3月10日前後にポケモンGOを出来る人はいないと思う。
災難が最近なのか、昔なのかの違いがあって、たとえ古い災難であったとしても
この国の歴史をおろそかにしてはいけないと思うのです。

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