アナログトイカメラ写真館

2002年4月30日設置

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アナログトイカメラ写真館 なぜアナログカメラなのか

1997年
私がテストの度に赤点を連発していた馬鹿な高校3年生だった秋。
予備校で画像工学科のパンフレットを偶然見て、「これしかない!」と思った。

そこそこの進学校にいたけれども全く勉強しないでPCの3DCGゲームに夢中になっていて
当時は今ほど滑らかなポリゴンは無くて、ワイヤーフレーム(線画)を見て大喜びしていた馬鹿学生は
自分でも3DCGを作ろうと思って、高校3年の秋から死ぬほど勉強した。
早朝に起きて深夜までひたすら勉強。それ以外は毎日4時間寝るだけ。

滑り止めは一切無しで、地方の国立大理系の画像工学科の1つだけ受験して
奇跡的に合格した。それが1998年春。

大学でいろいろな事を教わった。
写真撮影から暗室でのフィルムの現像、印画紙への焼付けなど基礎はひととおり授業で教わって
印刷技術からCGまで、画像に関する技術を幅広く勉強した。
それが今の私に繋がっている。

私が過ごした大学時代はデジカメの性能が悪くて、プロはフィルムカメラを使っていた。
授業でも「プロはフィルム、だけれども今後のデジカメの進歩でフィルムは衰退するだろう」
そう教わった。断定ではなく推測として。

デジカメが圧倒的な進歩を遂げた現在。
フィルムカメラは完全に衰退してしまい、一部の愛好家しか使わなくなっている。
販売されているフィルムカメラも極めて限定された種類しかない。
私はフィルムカメラを諦めてデジカメだけしか使わなくなった。

2010年秋、某日。
都内のとあるお店にて、1990年にロシアで製造されたフィルムカメラの新品を偶然発見した。
外装の箱に1990年製造のシールが貼られているのを見て、衝動的に買った。
これが手に入れる最後の機会になるかもしれないと思ったら即決だった。
それがSMENA 8M 通称スメハチ。





せっかく購入したのだからフィルムを装填して撮影してみた。
デジカメと違って一枚一枚が真剣勝負。とても懐かしい気分になった。
昔はもっと全力で写真を撮って、ドキドキしながら現像を楽しみにしていたのだ。

フィルムカメラをもう一度使ってみようと思った。

フィルムと現像のコスト高、将来性の無さ、そんな事は百も承知しているから
積極的には使わないし他の人には勧めない。けれども
私が1997年画像工を目指した時の無駄な全力パワー。
学生時代に初めて暗室に入って赤色ランプの下で作業をしたワクワク感。
写真実習を口実に学内を歩く女学生に「写真を撮らせて」とナンパしまくった底抜けな若さ。
必死で撮ったコレクションを自分の手で現像したら、背後の壁にハーケンクロイツが落書きされていて
女学生の写真がナチの手配写真のように写っていた時の哀しさ。
それら懐かしい思い出達の鎮魂として、もう一度フィルムカメラを使うことにした。

そんなノスタルジックな気分で、私はアナログカメラで撮影しています。

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