日誌

2002年4月30日設置

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2012/08/07(火) 高くて早いクリーニング店と安くて遅いクリーニング店

私の最寄駅の踏切を挟んで、2軒のクリーニング店があった。
1件は昔からある古いお店で、比較的安い価格でサービスを提供している。
もう1件は2〜3年前にできた新しいお店で、「高級指向」を謳っている。

私はいつも古いお店でクリーニングを頼んでいたのですが、ある時
なるべく早くクリーニングして貰うと最短でいつまでに仕上がるのかを
アルバイト店員のオバちゃんに聞いてみた。すると

「線路向いのお店なら早朝に出せば夕方に出来上がります
あのお店は、こことは違って作業場が店内にあるので早いのです」
と言われた。別にここでは駄目だと言ったわけではなく
この店での最速仕上がりを聞いたのに、他の店を紹介された。

このオバちゃんはたぶん親切心から言ったのだと思う。
でも、この言葉は店の常連への配慮が欠けている。
自分自身でダメなサービスだと言ってライバル店を勧めてしまうと
今までそのお店を選んでいた客の判断基準が間違っていたことになる。
それは、商売人として一番やってはいけないことなのです。
自分の提供するサービスに、自分なりの自信が無ければ商売は成り立たない。
その日以降、私は新しいお店のほうに行くようになって
古い店には一度も行かなくなった。

気がついたら古い店が潰れて空家になっていた。

アルバイトのオバちゃんは今でも
「あのお店は作業場が無いから潰れたんだ」
と勘違いしていると思う。
時給800円固定給で働いている人からすれば一生懸命働こうが給料は変わらないし、
むしろ客が少ないほうが楽に働けるから、ライバル店でも平気で勧められる。

でも、それによって失われてしまった「商品価値」があったのです。
潰れてしまった古いお店はクリーニングが出来上がるのは若干遅かったけれど
新しいお店よりダントツに安かったのです。その安さを評価していた客もいたのです。
その価値は、お客からの信用も含めて、今までの店員達が作り出してきたもので
オバちゃん一人のものではない。それを安易に壊してしまった。
そのことがとても残念だと思う。

淡白に働くよりは、もっと真摯に、貪欲に働いたほうが
結果として客の要望にも応えられるし、お店も、自分の職場も残せると思うのです。

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