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2002年4月30日設置

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2012/08/06(月) 原爆と原発事故と新木場の第五福竜丸

昨日、新木場の夢の島にある第五福竜丸を見に行きました。
福島の原発事故の影響や8月の原爆投下の日に近いこともあり
第五福竜丸展示館には沢山の人が来ていました。
ここには被爆直後の広島、長崎の写真も展示されています。

原爆と原発と第五福竜丸。
これらに共通しているのは天災ではなく人災であるということだ。
人間という生き物が生来抱えているその業の深さが
これらの事件を引き起こし、多数の被害者を生み出した。

福島の事故が起こってもなお、経済を優先するあまり安全対策が未完遂な大飯原発を稼働させた。
その悲惨さが十分わかっているのに、それだからこそ核ミサイルは圧倒的な数が生産された。
地球を汚した核実験の巻き添えをくって、何の罪もない第五福竜丸と船員達が被ばくしてしまった。
人間という生き物は業深く破滅的で、底抜けに愚かに生まれ落ちたのだとしても
どこかで立ち止まって、少し頭を冷やして考えることは出来なかったのかと
巨大な第五福竜丸の船体を見ていて思った。

今朝のニュースで広島の平和記念式典に野田首相が出席しているのが映ったのですが
この人は就任直後に国連演説で原発輸出の継続を打ち出していた。
原発輸出を継続しないと金が儲からないし、経済関連団体からの圧力も厳しいけれども
事故を起こした国が原因究明する前に輸出継続を国際社会に唱えるのは信義に反していて
まさに「死の商人」そのものだ。
過去に野田首相はA級戦犯は戦争犯罪人ではないとする見解を打ち出しているが、
A級戦犯とされた人々が戦争を始め、遂行し、原爆も含めてこの国に破滅的な結果をもたらしたのは事実で
そんな事を言う首相が一体何を考えて広島の平和記念式典に出席するのかとても疑問だ。

生きていくうえで重要なのは今この瞬間だけでなく、
自分たちが生きているこの国の過去の経緯であったり
未来を生きる私達の子孫のことも考える必要がある。
そのためには過去の「不都合な事実」も直視しなければならないし
現在の過ちの原因究明と責任追及も必要だし、それらを未来に正確に伝える必要があると思うのです。

広島平和記念公園の石碑に刻まれた言葉は
「安らかにお眠り下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」
この「過ち」が何を指すのかは人によって解釈がいろいろ異なるし、絶対的な答えは無いけれど
歴史的事実を積み重ねて、人それぞれよく考えて
己で導き出した「過ち」とは何かを後世に戒めとして伝えていく覚悟が必要だと思うのです。

赤心楼 写真館 【新木場にある第五福竜丸エンジンの写真】

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