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後半、忙しくなったので久しく活字から遠ざかっていました。
来年はもっと本を読める時間が欲しい。
【作品賞】
- 01位. 『20世紀との訣別』/蓮實重彦 山内昌之
- 難しかったけどこの年いちばん影響を受けた本。だから1位にします。自分もこれくらいの対論ができるといいと思うんだけどあまりにも未熟だ。この本ではその入口に立てたような気になった。
- 02位. 『春昼・春昼後刻』/泉鏡花
- 泉鏡花をチャートに載せるのはこれを最後にしようと思う。どうしたって上位に来てしまうから。それに全集で読み始めたので。再来年くらいには鏡花文学のマニアなページを作る予定。出来上がったとしても、どちら様も見に来なくて結構です。
- 03位. 『芽むしり、仔撃ち』/大江健三郎(『日本文学大系72』)
- 今年は朝日新聞の『往復書簡』も愛読しました。この小説はなんか読んだ後に何にもやる気が起きなくなってしまった。大江文学は私のような凡人には手に負えない気がしてましたが、手に負えないなりにでも、読むととてもひき込まれることを知った。
- 04位. 『鷹』/石川淳(『日本文学大系72』)
- 石川淳という人を実は知らなかったんだけど、すごく良い作家ですね。安部公房のような前衛的な側面と、鏡花のような幻想的で古風な側面を併せ持つ希有な作風でした。もっともっと読んでみたいです。
- 05位. 『壁』/安部公房(『日本文学大系72』)
- 今年はカフカも初めて読んでみた。ので、この作品とカフカの作品が良く比較されるのも頷ける。でもやっぱり決定的に違うのは、読み手の置かれる立場。簡単に言うと劇的な阿部と、仮想現実のカフカ、かな。
- 06位. 『紫苑物語』/石川淳(『日本文学大系72』)
- 『鷹』がこの人の“阿部的”作品であるとしたら、これは鏡花方面の作品といえるでしょう。それぞれのシーンは一枚の絵の様で、それが徐々に変容しながら飛躍していくイメージはまさに鏡花的な感じ。
- 07位. 『共同幻想論』/吉本隆明
- これも難解だった。共同幻想の考え方は何と無く分かったけどそれぞれの小論の内容はいまいち分からなかった。世の中にはすごく切れる人がたくさんいるもんだ。この本はまた読み直して理解できれば良いかな。
- 08位. 『絡新婦の理』/京極夏彦
- 抜群に面白かった。ミステリーと呼んでしまうにはもったいないくらい、いろいろな要素を持った本。出てくる人物の描写も実に豊か。ストーリーテリングも異常にうまい。他のミステリーが霞んで見える。
- 09位. 『リング』/鈴木光司
- ホラーってあまり好きじゃないんだけど読み始めるとびくびくしながらもやめられないものだ。この本はやっぱりその発想力が優れていると思う。映画やドラマになったけどそれぞれは本の内容よりもその発想を借りた感じ。
- 10位. 『日蝕』/平野啓一郎
- おまけ。はっきり言って芥川賞を取れる作品ではないと思います。と言いつつ文語フェチの私は喜んでたけど。「この受賞は自分にとってより芥川賞にとって意味がある。」なんて言っちゃう超ナルシズムも気に入った。
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