行かずに楽しむ京都、物産展

 デパートの催事場で開かれる各地の物産展。その中でも京都の物産展は人気があるようで
す。呉女はデパートで買い物をすることは少ないのですが、ウチから行きやすいところにある
デパートで京都の物産展をやっているのをオオアマさまが見つけてきたので、今日(2003年4
月)、日曜の午前中に出かけてみました。

 さほど広くはない催事スペースに入ると、馴染みのあるお店の名前が並ぶのでワクワクする
のをおさえ、まっすぐに向かったのが「イノダコーヒー」の喫茶スペース。京都にはなぜかコー
ヒーのチェーン店が多いのですが、その中でももっともポピュ
ラーなのがイノダコーヒー。京都駅で新幹線に乗る前やモーニ
ングによく利用させていただくので、イノダコーヒーの香りが
「京都の香り」。ウチでは家で飲むレギュラーコーヒーや、時に
はインスタントコーヒーもイノダで求めることが多いのですが、
やはりお店で飲むのがおいしい。ここでは「お砂糖とミルクを
あらがじめ入れて出される」ということが有名ですが、実は最
近は「お入れしてもよろしいですか?」と確認されますので、ブ
ラックで飲むこともできるんです。でも普段はお砂糖を入れな
い呉女もここでは入れてもらいますね。入れていちばんおいし
い状態で出してくれるわけですから。その京都の香りを地元で
楽しめる、というのがわざわざ出かけていったいちばんの理
由です。ところが京都で飲むより甘くない……と思ったら、底
にお砂糖が沈んでいました。でも「雰囲気」も楽しむことができ

 今回、イノダのお店で買ったのは5種類レギュラーコーヒーが少量ずつ入ったもの。普段は赤い「アラビアの真珠」を飲んでいますが、この際、飲み比べしてみます。
て満足。
 そしてお買い物。 呉女はだいたい「ブランド」というものに興味がなくて、どこの何でもどーで

 大好物の阿闍梨餅。開けてみると
平たいお饅頭にみえる。食べると
「餅」の意味がわかるんです。
もいいタイプなんですけど、京都ブランドにだけはなぜか弱いんですよねー。外国のブランド街とか免税店へ行ってもちっとも財布の紐がゆるみませんけど、京都では……困りますねー。でもここでは小物は見るだけにして……(ホントはきれいな柄や色のついた着物の替え襟とか、そそられましたけどー)食べ物に集中しました。
 お菓子はいろいろ豊富ですけど、とにかくいちばん好きなのは「満月」さんの「阿闍梨(あじゃり)餅」。これは知る人ぞ知る人気菓子です。ぜんぜん華やかじゃなくて地味〜なお菓子なんですが、独特の生地の食感がクセになるおいしさです。一個100円という値段も魅力的。これをまずゲット。それから、こちらはさほどメジャーとは思えないんですけど、ついつい買っ
てしまったのが「葵家」さんの「京おはぎ」。上賀茂神社の門
前にある「やきもち」屋さんとしては、もう一軒の「神馬堂」さん
のほうが有名かと思いますが、呉女は個人的に「葵屋」さんの
おはぎのファンで、上賀茂さんに行った際も他の方がやきもち
を買うのを横目におはぎを求めます。粒餡が苦手なオオアマ
さまもなぜかこれだけは食べられるんです。こちらもちっと京
都っぽくないボテッとした素朴なおはぎなんですけど。ほかに
も「文の助茶屋」さんの「わらび餅」などにそそられましたが予
算の都合などでガマンして、次はお昼ごはんのお買い物。
 まず目についたのが「三木鶏卵」さんのだし巻たまご。ここ
は年末に錦市場に行くと、いつも行列がすごいんですよー。な
んでだし巻たまごごときにこんなに並ぶのかしら?といつも気

 「おはぎ」の餡ときな粉。きな粉のほうも中に粒餡が包みこまれてます。他に抹茶とゴマがあるみたい。2個で340円。
になっていたので買ってみました。食べてみたら、味というより食感ですな。プワンプワン。その
場で焼いていたのを見る限り、焼き方はフツウでしたけど、何を入れたらあんなになるんでし

 本日のお昼、名づけて「京の昼
」? 筍ご飯、だし巻たまご、しん
じょ、トマト、ほうれん草のおひたし。
これにお吸い物。楽な主婦だねー。
ょ? それから「下鴨茶寮」といえばとてもじゃないけど高くて行けませーん、という名店ですが、そこの筍ご飯がワンパック300円で買い! 考えてみればお店で食べるのは部屋とか庭とか器とか雰囲気代も込みだから高いのよねー。それからオオアマさまが「茨木屋」さんの京かまぼこしんじょ類にひかれているようなので、ゆばしんじょなどを少し求めました。他にもオオアマさまは「いづう」さんの「鯖姿寿司」を食べたそうにしていましたが、一人前でも2100円もするので買ってあげられませんでした。ほかに「藤野」さんのお豆腐を買いました。藤野さんも有名店で、錦で豆乳ドーナツを食べたことはあってもお豆腐を買うのははじめて。今の時点でまだ冷蔵庫の中にいますが、これからいただくのが楽しみです。
 最後に京野菜の「かね正」さんでみず菜とほうれん草、トマト
を求めました。京野菜は少し前まで京都の周囲だけで栽培される貴重品だったようですが、最
近は種を全国に出すようになったそうです。それで関東でも盛んに栽培されているのでスーパ
ーでも買えるようになったわけです。その中でも「みず菜」は一般的。鍋ものに使う野菜と思っ
ていらっしゃる方も多いようですが、レストランなどではサラダに使うのがフツウになっています
し、呉女はおひたしや煮びたし、ベーコンと炒めて食べるのも好きで、愛用してます。
 ……てなわけで、満足してデパートを出てきました。会期中にまた行くかもしれません。

 ここからは元デパート勤務だった呉女の、ここだけの話……。
 催事の時には何人かの社員が自分の売り場を一週間離れて催事場で金銭管理や販売のお手伝いをするのです。
呉女はリビングフロア所属でしたので、物産展の食品以外の名産品などのコーナーのお手伝い担当でした。お手伝
いメンバーはそのときによって上司が決めるのですが、当時から呉女は京都が大好きでしたので「京都の物産展に
は私を上がらせて下さい」と新入りの分際で立候補したんです。そしたら先輩たちに耳打ちされたことには「あなたね
え、京都展はやめた方がいいよ」。物産展の一週間は全国のデパートを回っているその土地のお店の方たちとかな
り密着して働くことになるのですが、京都展の人はシビアなので過去には途中で泣き出した若手社員もいるとか。と
にかく京都展はやりにくいから自分からやりたいなんて言う子はいない、と。呉女は「ふーん……」と思いつつ、「それ
でもやらせてくださいっ!」と頼み込んだので参加することができたのですが、社員のミーティングでも「レジのちょっと
したミスも鋭く追求されますから、細心の注意を払ってください」と言われたのはよく覚えています。シビアというのは
決して悪いことではありません。きっとそういう京都人の厳しさが千年の都を支えているんでしょう。
 で、実際どうだったかというと、京都グッズに囲まれただけで満足してしまうノーテンキな呉女のことですから、あん
まりシビアだったという記憶はないんですねー(単に自分に不都合なことは忘れているだけかもしれない)。ただ記憶
にあるのは、どこの店とは言いませんが(今回は出ていなかった)、オッサンがいやらしくて、何気で手を握ってきたり
するんですよー。あれは完全にセクハラです! もーっ!
 けど、呉女の物産展のお手伝いの楽しみは、地元のオニイサンたちにおすすめのお菓子を聞き出すこと(なんでオ
ネエサンじゃなかったんだろ?)。実は「阿闍梨餅」もこの情報から知って病みつきになったものなんです。ちなみに
「おはぎ」は毎日違うお菓子を買って食べ比べた結果、気に入ったものです。今から思えば働いてたんだか、遊んで
たんだか……。

 
  物産展は気をつけて見ていれば、あちこちでやっていると思います。
  京都まで行けないときは、物産展で楽しみましょ!


 
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