京都老舗旅館体験記
婚10周年を兼ねて、京都の老舗旅館の御三家(俵屋、柊屋、炭屋)のどれかに泊まろうというこ とになりました。それで、もっともお手頃だった炭屋に泊まることに決定。 だいたい呉女とオオアマさまは旅に出る回数が多いので、あまりお金のかかるところには泊 まらない。京都でもリーズナブルなホテルはあちこち泊まり歩きましたが、日本旅館は始めて。 京都の老舗といえば、「一見さん、お断り」みたいなイメージがあって敷居が高い気もするけれ ど、やはり一度は泊まってみたい……。期待と不安でドキドキでした。 老舗の御三家は3軒とも麩屋町通にあります。修学旅行でお馴染みの新京極からもすぐ。こ の通りは古くからの旅館街で、今ではマンションなども多いものの、繁華街に近いわりには閑 静です。俵屋と柊屋は御池通を下ってすぐ。炭屋はそれより少し南で三条通を下ってすぐで
ところは基本的に大浴場ではなくて、部屋風呂なんだわ。
さてお食事です。もちろんお部屋に運んでくださるのですが、まるでフランス料理みたいに1 品1品持ってきてくださるのです。しかも仲居さんは食べているのを後ろで見ているわけではな いですから、次の料理を持ってくるタイミングはすごくむずかしいはず。これができてこそ、いい 仲居さんなのだそうです。では、炭屋のお料理の中からいくつかをご紹介。
うどよかったんです。むしろもう少し食べられるかな、というくらい。考えたら、揚げ物のようなカ ロリーの高そうなものはなかったんですね。お味も何かインパクトがあるわけではなくて、普通 に抵抗なくおいしい、という感じ。湯葉やよもぎ饅頭の食感は忘れられません。ちなみに仕入れ はすぐ近くの錦市場などでするのだそうです。 お食事が終わって、前述の通り呉女はホワ〜っと……。そこへお布団を敷きにきた仲居さん をつかまえて、オオアマさまは質問のしまくり。それによれば、最近はこういう老舗でも常連さん というのは少なくて、私たちのように旅行会社を通じてとか、インターネットで予約してポッと来 る気楽なお客が多いのだとか。仲居さんはオオアマさまの質問に答えつつも、きびきびと動い
あるのも納得です。 して出てきてしまったのがちょっと心残りです。 結論。老舗旅館は特別にきらびやかな時間を提供するところではなく、あくまで基本に忠実 に必要十分なサービスで、フツーの時間を心地よく過ごさせてくれる、意外に気楽なところであ る。 ちなみに、今回の宿泊費、土曜日で税金・サービス料込み3万円代。プランによって2万円 台から8万円くらいまであるようです。それよりビール小瓶2本で約2000円なり……これが京都 の老舗値段なのね。 帰ってきてからオオアマさまが言う。「今度からもうちょっと安いところでいいから、京都では 日本旅館に泊まろうよ」。何がそんなに気に入ったのかと聞きましたところ、ちょっと考えて 「……情緒」とのことでした。 そんなケチなこと言わんと。今まで旅行会社に出ていなかった俵屋も2003年度のパンフレット には載るようになったことだし(ちなみにこちらは4万円代)、他の有名老舗旅館も渡り歩いてみ るとか、炭屋のリピーターになって他のお部屋も観察するとか……(そんなお金がどこにある ッ!?)。 |