行田尚希 |
路地裏のあやかしたち |
路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店 2013年6月29日(土) |
玉響通りにある煙草屋の隣の綾櫛横丁という細い路地の奥に大妖怪がいて、困った幽霊や妖怪をぶっ飛ばしてくれるという噂を同級生の森島から聞いて、俺は夜中の二時その場所を訪れた。突然現れた黒猫の後ろに続いて木戸を開くと、祭囃子が聞こえて縁日の光景が見え、猫や狸や狐や鼬、烏がいた。そこに着物を着た二十歳ぐらいの女性が出てきた。翌日学校帰りにその場所へ行くと、加納表具店という店があって、店主の加納環さんに日本画家だった亡くなった父の絵から物音がして描かれた鳥や魚が動くという話をする。環さんは何百年も生きている狐の妖怪で、店にいる女子高生姿の揚羽はネコマタ、蓮華が雪女、イケメンの樹は狸、小学生の桜汰は天狗の子供だった。表具を仕立てる表の仕事のほかに、絵に染みついた思念を表具を使って浄化させる裏の仕事もしている環さんについて、俺も表具の仕事を習い始める。 ふとしたきっかけで知り合った妖怪たちと高校生の物語。電撃小説大賞メディアワークス文庫賞受賞作。ライトノベルの分野になるらしいが、おもしろかった。 |