楊逸

時が滲む朝      

時が滲む朝 2011年6月1日(水)
 梁浩遠は親友でありライバルでもある謝志強とともに、秦都の大学に合格した。朝早く起きて勉学に励む二人だったが、いつしか尊敬する甘凌洲先生と心惹かれた女子学生白英露の後を追うように民主化運動に参加して行く。天安門事件で運動は挫折し、甘先生と英露は姿を消し、浩遠と志強は酒場で喧嘩して退学になってしまう。三年後、残留孤児に娘梅と結婚した浩遠は日本の土を踏んだ。そして七年、浩遠はアルバイトをしながら、民主同志会の活動を続けていた。
 中国出身者の日本語による芥川賞受賞作。 天安門事件の影響が描かれているが、これは物語のバックグラウンドだけという感じで、一中国青年の青春とその後、日本や欧米で暮らす中国人たちの姿を描いた作品。興味深いものがあった。