柳原慧 |
パーフェクト・プラン |
パーフェクト・プラン 2007年8月20日(月) |
小田桐良江は、代理母で暮らしを立てていた。初めて産んだ子「一号」を見に行き、母親に虐待されているのを見て、良江はその子、三輪俊成を連れ去ってしまった。かつて良江の愛人だったキャバクラ店員の田代幸司、幸司が信頼しているカジノ店長の赤星サトル、そして赤星が用心棒にしている元相場師の張龍生の4人がEnigmaというチームを作って、身代金ゼロで五億円せしめる、犯罪であって犯罪でない計画を立てる。それは、経営が逼迫している投資アドバイザー集団「インフィニティ」を主宰している父親の三輪俊英と協力して、株でもうけることだった。しかし、狂言誘拐で終わった事件に不審を抱いた警視庁捜査一課・特殊班の女性刑事鈴村馨が引き続き三輪家を監視し、さらに三輪俊英のコンピュータに「トロイの木馬」を仕掛けていたJoshuaというクラッカーがこの計画に介入しようとしていた。 誘拐、株、ハッキング、バイオと盛りだくさんだし、登場人物のキャラクターもいいし、それぞれが人間ドラマを抱えていたりして、結構おもしろかった。 2時間ドラマのように終盤一気呵成に全員集合というのも、ミステリーならではということにしよう。この作家は女性で、日本ホラー小説大賞にも応募しているそうだが、ラストは確かにホラー系だ。「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。 |