山本幸久

笑う招き猫      

笑う招き猫 2008年2月20日(水)
 身長180センチのヒトミと小太りのアカコは漫才コンビ。大学で知り合い、フリーマーケットで歌いながら招き猫を売るアカコに付き合ってきた。卒業してOLを3年やっていたヒトミの前にアカコが現れて、漫才をやろうと誘われ、ヒトミは会社を辞めた。28歳になってプロダクションにスカウトされ、渋谷のシアターでデビューすることになる。
 何でも歌にしてしまう28歳児アカコのキャラクターだけでも笑えるが、アカコの義理の祖母頼子さん、マネージャーのデブ吉、先輩の乙さんと娘のエリといった周りの人物もおもしろくて温かい。楽しく読める1冊。第16回小説すばる新人賞受賞作。
 「くそつまんねえバラエティとかぬかしてる腑抜け番組に引っ張り出されてだよ、コントと称して、その場の盛り上がりだけでお茶を濁す、三流タレントの馴れ合いにつきあわされたり、レポーターとか言われて、街にほっぽり出されて、屁の突っかい棒にもなりゃしねえ情報垂れ流したりすんのは、お・こ・と・わ・り、なんですよ。」確かに、テレビのバラエティは最近一切見ない。