山田悠介

リアル鬼ごっこ      

リアル鬼ごっこ 2006年3月31日(金)
 三十世紀の王国では、馬鹿王が自分と同じ姓を持つ全国の佐藤さん五百万人の抹殺をはかる。そして鬼ごっこでつかまえて殺すというアイデアを思いつく。1週間23時から1時間、百万人の兵士が佐藤センサーをつけて鬼になり、5百万人の佐藤さんを捕まえるというもの。
 佐藤翼は幼い頃母と妹と生き別れて、暴力を振るう父と二人で生きてきた。脚が速いので推薦で高校、大学と進み、今はトップクラスの選手となっている。リアル鬼ごっこの1日目は無事逃げ切ったが、2日目父が自宅前で心不全で倒れる。息を引き取る前に母がもう亡くなっていること、妹の愛は弟に引き取られて大阪にいることを知らされる。翼は、愛を探し出して助けることを決意して、通夜を終えて大阪へ向かう。
 ユニークな発想で、鬼ごっこのスリル、出会いと別れがあって、面白かった。童話的なエンディングを期待していたが、甘いものではなかった。自費出版から生まれたベストセラーだそうだ。