矢樹純

がらくた少女と人喰い煙突      

がらくた少女と人喰い煙突 2021年8月10日(火)
 女子中学生・陶子は《宝物》(がらくた)集めが趣味で、部屋の中はごみ屋敷状態。《強迫性貯蔵性》という病気だそうで、桜木という心理カウンセラーが訪れて、治療のために、狗島という島を訪れることになった。狗島には《赤痣病》の患者を隔離していた療養施設《愛心園》があり、長年園長を務めた友埜恵三郎の後を受けて、友埜の義娘で、陶子の従姉である仁菜が園長をしていた。島はかつての患者と施設の職員しかいず、三日に一度定期船が荷物を運ぶだけの孤島 だ。が、着いたその日に元園長の友埜の首なし死体が、かつての火葬場跡の煙突の下で見つかった。台風の影響で電話もつながらなくなっていた…。
 《赤痣病》という名前になっているが、ライ病施設を背景にして作られた、いわゆる孤島ミステリーだが、 探偵役の桜木の正体、陶子の問題とその原因、人間関係など、少しひねってあって、おもしろかった。