海野碧 |
水上のパッサカリア |
水上のパッサカリア 2011年6月16日(木) |
大道寺勉は、穂刈高原翡翠湖のほとりの家で、行きつけの焼肉屋で働いていた菜津と捨て犬のケイトと、自動車整備士として働きながらひっそりと三年過ごしてきた。菜津が事故で亡くなり、その余韻の中で暮らしていたある日、家に昔の仲間が侵入していた。弁護士の斯波、秘書の冴子、そしてヒデ。大道寺は、彼らと〈始末屋〉という犯罪すれすれの裏稼業をしていたのだった。最後の始末で死んだ男の父が、服部という闇の金融ネットワークを牛耳っている男で、彼らを狙っているということだった。大道寺は休暇をとり、服部の始末のため東京へ戻った。 主人公はさながらゴルゴ13。始末もあっさり成功するが、最後にちょっとしたどんでん返し。物語はサクサク進んでおもしろかった。ちょっとセンチメンタルなところがあって、文章もちょっと軽いなと思い、もしかしてと思っていたらやはり作者は女性だった。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 |