上畠菜緒

しゃもぬまの島      

しゃもぬまの島 2022年5月23日(月)
 アダルト雑誌の出版社で働いている祐の部屋に、「迎えに来ました」と言ってしゃもぬまが訪れた。祐が育って島では、しゃもぬまというロバのような動物が死ぬとき島の誰かを天国に連れて行くと言われていた。島の持ち主である紫雲がしゃもぬまを譲れと言ってきて、紫雲の娘で幼馴染の柴織が部屋で一緒に過ごすようになった。祐も紫雲の娘だった。しゃもぬまが衰えていくにつれて、祐も弱っていく。祐はある人にしゃもぬまを譲ることを決意する。
 もともと現実に存在しない動物が登場するわけだが、最後に現実と非現実が交差する感じが、村上春樹の作品と雰囲気が似ている。ただ、主人公の祐の印象が弱いけれど。小説すばる新人賞受賞作。