上田早夕里

火星ダーク・バラード      

火星ダーク・バラード 2008年10月28日(火)
 火星の峡谷に蓋をかぶせ、その内部に都市が建設されていた。水島は火星治安管理局の職員、地球流に言えば刑事だ。ペアを組む神月璃奈とともに自ら逮捕した凶悪犯を列車で護送中、巨大な恐竜のような獣に襲われ、意識を失った。神月は射殺され、一緒にいた捜査官も銃で撃たれて重体だった。疑いをかけられ取り調べを受けた水島は、休暇を取って操作しようとするが、当局から執拗な圧力がかかる。一方、火星総合科学研究所では、超共感性という特殊な需要能力を持つ子どもたちの実験が行われていた。水島の事件を引き起こしたのは、アデリーンという特に強力な能力を持つ少女だった。そして、繁華街に行きぬきに出ていたアデリーンは、容疑者を追っていた水島と出会う。
 読んでいて、どこか言葉が変。特にセリフの部分が直訳調のように不自然だ。水島が火星で警察の仕事をする事情や内面、アデリーンの水島への思いなども描かれているが、言葉が変で描き方も中途半端であまり伝わってこない。。宇宙に適応する人体改造ということでは、クリフォード・D・シマックの感動的な「人狼原理」があるが、この作品は最後は単なる超能力アクションもので終わっている。SFの小松左京賞受賞作 。