冲方丁

天地明察      

天地明察 2012年8月6日(月)
 渋川春海は、四代将軍家綱の御前で碁を打つ公務を務める二代目安井算哲。神道、朱子学、測地、暦学も学び、特に算術に魅入られていた。算額絵馬を見に行った神社や訪れた名高い算術家の磯村塾で、どんな難問も一瞥即解する関孝和という存在を知り、えんという娘と出会う。武士でもないのに帯刀を命じられていたが、ある日老中酒井忠清から北極出地を命じられ、建部昌明、伊藤重孝のもとで1年以上かけて日本各地で測地の旅を続ける。そして戻ると、徳川幕府の陰の総裁である会津藩主保科正之より改暦の命を受ける。当時使われていた宣明暦は誤差が大きくなっていたのだ。
 算術勝負あり、囲碁勝負あり、恋愛ありで、小説としておもしろかったし、江戸時代数学が発達していたり、北極星を使った測地がされていたり、日食・月食の予測がされていたり、ということを知って興味深かった。本屋大賞受賞作。