津原泰水

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11 2020年1月10日(金)
 「五色の舟」:奇形を見世物にしている一座は、人と牛のあいのこで未来を言い当てるという「くだん」を買いに行く。くだんは恐るべき爆弾が落ちて日本は負けると予言し、別の世界へ導くと言った…。他、全11篇の幻想?怪奇?ホラー?SF?短編、ショートショート。単純に謎?な作品もあれば、単純に風変わりな作品もある。特に印象的な「五色の舟」と「テルミン嬢」は同時に星雲賞の候補となって、自作同士が票を争って共倒れに終わったそうだ。Twitter文学賞受賞作。

妖都 2020年3月12日( 木)
 高校生の周防馨は数週間前から”死者”の存在に気がついた。その日も、生きてもいない、霊でもない女がサラリーマンの手を引いて車に一緒にはねられた。ふつうの人は男が一人で車道に出たようにしか見えないだろう。そこに居合わせた女子大生の後ろに少年の霊がいた。鞠谷雛子も小三の頃から司会に妙なものが映り、見ないためにメガネをかけるようにしていた。東京で”死者”が増殖して、奇妙な事件が多発するようになったのは、ロックグループCRISISのヴォーカリスト・チェシャが自殺してからのことらしい。中学の時初めてデートした日に車にはねられてなくなった尾瀬くんの霊を見るようになり、雛子は当時住んでいた山梨の尾瀬くんの家を訪ねる。馨はチェシャの解剖に付き添った医師兼松を訪ねる。
 どうなることかと興味津々で読んでいったが、最後はエログロで収拾がつかなくなったようだ。がっかり。