谷村志穂 |
14歳のエンゲージ |
14歳のエンゲージ 2003年6月6日(金) |
「結婚しないかもしれない症候群」で有名になった著者の小説。たわいもない恋愛ストーリーかと思っていたら、そうでもなかった。普通で退屈な女の子でいたくなくて、ただ一人の友達とクールなリーダーにあこがれて番長グループに入ろうとする14歳の中学生。鏡に向かってガンとばす練習をし、自分を選んでくれた好きでもない男の名前を、手の甲にピンで彫ってインクで染める。エンゲージというのは、仲間に認めてもらうためのこの儀式。 「早く女になったって、なんにも得なことなんてないんだよ。バカだね、あんたたちは」ヤクザや不良グループが集まる喫茶店のマダム。「誰のことも軽蔑なんかしちゃだめだよ。そうやってマツナガは人のことを嫌いになろうとしている。カツヤも、クラスの奴らも、みんなあれで精一杯なんだよ」一番大切な友達の最後の言葉。寂しさや居心地の悪さに耐えられず、生き急ぐ14歳。自分のこの頃は、こんな世界は想像もつかない、うろんで幸福な子供だったようだ。 |