滝沢志郎

明治乙女物語      

明治乙女物語 2019年9月28日 (土)
 明治二十一年、東京・御茶ノ水にあった高等師範学校女子部、通称「女高師」で学ぶ野原咲と駒井夏。いわゆる「鹿鳴館時代」、講堂で舞踏会が開かれている最中、爆破事件が起こる。夏はその一味と思われる若い男と偶然話をいていた。咲は読んでいたシャーロック・ホームズに倣って現場から遺留品を見つける。夏が話をした西洋人の様な顔をした大男は、米国公使の通訳と芸妓の間にできた子で、横浜にいた頃幼い咲を見知っていた。そして今は車夫として仲間と反洋化運動に加わっていた。
 森有礼、大山捨松など実在の人物に、主要な登場人物もモデルが存在する一種の時代小説であり、ミステリー的な要素もある学園青春物語でもあり、読んでいておもしろかった。松本清張賞受賞作。