竹内真

粗忽拳銃      

粗忽拳銃 2006年1月7日(土)
 20代後半の前座の落語家流々亭天馬、同級生だった売れない役者の広介、2つ年下の自主映画監督時村、さらに2つ年下のライターの卵 可奈は、いつも下北沢の広介のアパートに集まってはざこ寝していた。その日も飲んで遊歩道を歩いて帰る途中、粗大ゴミ置き場で拳銃を見つける。冗談で撃ってみたら本物の拳銃だった。その銃はなんと事件に使われたものだった。そして、銃をめぐってヤグザとガンマニア達が動き出し、この騒動を使って映画を作ることになる。
 天馬は二つ目昇進、広介は最後と決めたオーディション、時村は次の映画、可奈はインタビュー記事といった、それぞれを課題を抱えていた。そして、ドタバタ騒ぎを通して、それぞれの道を選んでいく。タイトルは落語「粗忽長屋 」から。なかなかおもしろかった。小説すばる新人賞受賞作。