竹本健治

匣の中の失楽      

匣の中の失楽 2017年9月18日(月)
 学生を中心に、ミステリー好きがいろいろな縁で集まった12人のファミリー。年若い双子の兄弟のナイルズが探偵小説を書くと言い出した。設定も登場人物もファミリーそのままの実名小説で、最初に死ぬのは曳間だという。その曳間が倉野のアパートの密室で殺された。ファミリーはそれぞれアリバイを証明しあい、推理を披露するが、今度は真沼がファミリーが集まっている密室から姿を消した。第二章ではいきなり曳間が登場して、第一章はナイルズが書いた小説だとわかる。こんな調子で二転三転、数学、物理、易学その他のうんちくに、こじつけの見立てに、お粗末な推理合戦で、延々800ページ。正直、時間の無駄だった。