高里椎奈 |
銀の檻を溶かして |
銀の檻を溶かして 2008年5月7日(水) |
小学校の校庭に一晩で雪の妖精(雪上の軌跡)が現れた。しかし、雪が溶け始めるとそこから小学生の死体が見つかった。深山木薬店の3人、長身痩躯に穏やかな顔つきの座木、赤い髪の小学生のような外見のリベザル、そしてダントツ綺麗に整った顔の茶髪の少年、店主の深山木秋。その正体は妖怪。そして、妖怪がらみの事件を依頼されて処理している。
久し振りにやってきた客は、立ち退き問題でもめている栃木の不動産会社の社員で、悪魔と契約してしまったのだという。次いで現れた客は、やはり栃木で呉服屋をやっている女性で、校庭で亡くなった小学生の母親だった。幽霊が現れて寝室のドアをノックするのだという。呉服屋はリベザルに任せて、秋は悪魔の桜庭に契約を破棄できるか訊きに行く。 キャラクターが建築探偵桜井京介と蒼みたいで、おもしろい。ただ、最後の謎解きが、作品中には表れない秋の調査によっているのが、あまりフェアではない気もする。もちろん、それらしいことは確かに伏線として出てはいるが。それに、妖怪である必要もないと思うのだが。メフィスト賞受賞作。 |