菅浩江

永遠の森 博物館惑星      

永遠の森 博物館惑星 2005年3月21日(月)
 地球と月の重力均衡点に浮かぶオーストラリア大陸ほどの小惑星「アフロディーテ」は、宇宙一の博物館で、人類のあらゆる美術品、音楽、動植物が集められている。音楽・舞台部門<ミューズ>、絵画・工芸部門<アテナ>、動・植物部門<デメテル>にそれぞれデータベースが用意され、脳外科手術で直接接続した学芸員が収集品の分析鑑定を行っている。3者を統括・調停するのが総合管轄部署<アポロン>で、田代孝弘はその学芸員で、持ち込まれたいろいろな難題をデータベースにアクセスして解決して行く。
 「天上の調べを聞きうる者」では、高名な評論家が激賞した駄作の鑑定。「この子はだあれ」では、何の変哲もない人形の名前探し。「夏衣の雪」では、偽者とすりかえられた衣装探し。「永遠の森」では、盗作疑惑の鑑定。「きらきら星」では、小惑星帯で発見された5角形の 未知の物体の正体。データベースに直接接続して分析・鑑定できるといっても、芸術は最初も最後も感じること。真実は、ひょうたんからこまという感じで現れる。そんな正体探しから、推理作家協会賞も受賞しているが、それほどでもという感じ。SFの青雲賞受賞作。本もビデオもSFという時期もあったが、今では興味が薄れたようだ。