篠原勝之 |
走れUMI |
走れUMI 2013年8月14日(水) |
昔は捕鯨で活気に満ちていた入り江の奥の小さな港町の、日之出輪業が僕の家。店の青いマウンテンバイクがお気に入りで、UMIと名付けて毎朝磨いている。父さんは捕鯨のキャッチャーボートの砲手だったが、事故で左足を失った。木工場で飼われているコロは商店街の人気者だったが、鯨祭りの夜車に轢かれて後ろ足が砕けてしまった。僕はコロを連れ出し、お父さんが肢車を作ってくれた。お母さんがミカン山の実家に戻ることになり、僕も転校することになった。新しい学校では「ボークラゲ」というあだ名をつけられシカトされたし、母さんは説教ばかりするようになったが、UMIに乗って走り回っていれば平気だった。そして、小学生最後の夏休み、心の中の乗り越えるべきデッカイ坂に向かって、朝UMIに乗って家を出発した。 夏休みの一つの挑戦、初恋のようなもの、海との格闘、少年のひと夏の出来事を盛りだくさんに描いた作品。小学館児童出版文化賞受賞作。 著者は「ゲージツカ」の「クマさん」だ。 |