下村敦史 |
闇に香る嘘 |
闇に凝る嘘 2017年2月25日(土) |
四十一歳で失明し、その苛立ちを娘の由香里にあてて出て行かれた村上和久にとって、孫娘の夏帆のために腎臓移植することが、娘を取り戻すための唯一の道だった。しかし、検査結果は適合しなかった。和久は、岩手の実家に母と暮らす兄、中国残留孤児で永住帰国した竜彦を頼るが、竜彦は検査さ
え拒んだ。竜彦の姿を見ていない和久は、もしかしたら偽物だから拒むのではと疑いを持ち、かつての満州での知り合いを訪ねる。同じ頃、中国人の違法入国事件があり、逃げた一人から自分が本当の兄だという電話があった。和久のもとには入館の職員が接触してきた。 殺人事件が起こるというわけではないが、多くの謎が絡んでいて、思いもかけない真実が待っていることになる。江戸川乱歩賞受賞作。 |