島田荘司

異邦の騎士      

改訂完全版異邦の騎士 2008年12月30日(火)
 目が覚めるとベンチの上で、記憶をすべてなくしていた。街をとぼとぼ歩いていると、男から逃れようとしている若い娘を助けることになり、その娘の引っ越しを手伝い、一緒に暮らすことになる。その娘、石川良子の名前から石川敬介と名乗って働き始め、二人の幸せな生活が始まる。そんなある日、引き出しからなくしたと思っていた免許証が見つかった。そこには、益子秀司とあった。その住所荒川区西尾久を訪ねると、奥さんが自殺して出て行ったのだという。そして、転居先の墨田区九広の家を訪ねると、一冊のノートがあり、そこには妻が陥った金融業者井原源一郎による地獄模様と、その復讐に燃える俺の行動が書いてあった。そして、俺は復讐しようとして逆に暴行を受けて記憶を失ったらしい。ノートを読んで記憶を取り戻した俺は、もう一度井原への復讐を決意する。
 敬介(益子?)が星座を手がかりに記憶を取り戻そうとして知り合った、占星術師で変人の御手洗潔が彼の危機を救い、謎を明かす。若い魅力的な娘がいきなり「一人にしないで」というのは怪しい話だが、本格ミステリーらしいあっと驚く仕掛けがある。