柴田よしき

ふたたびの虹 RIKO-女神の永遠-    

ふたたびの虹 2005年8月26日(金)
 東京・丸の内のわかりにくいところにある小さな店、旬の素材を京風のおばんざいに調理して出し、笑顔の穏やかな女将はあまり話しもせず、客も穏やかな常連が多い。クリスマスの嫌いなOL、毒を飲んだ少女が握り締めていた指輪、養女にもらわれた女の子がこだわるパンダの茶碗、常連客の幼馴染から送られてきた帯留めととタンポポの押し花のメッセージ。 四季折々の話題と食材を絡めながら、お客をめぐる問題の謎解きをする。
 そんな事件と並行して、古道具が好きな女将と、友人の骨董店主との恋愛模様も進み、そして女将自身の謎も次第に明かされていく。
 しんみり系ミステリーと呼ばれたりもしている。最近NHKで「七色のおばんざい」としてドラマ化された作品。 女将の秘密はテレビドラマ以上に複雑なので、ドラマを見た後で読んでも損はない。京のおばんざいが食べたくなった。ちなみに、祥伝社文庫の裏表紙の文章、そのまま載せたいほどうまい。

RIKO−女神の永遠− 2006年6月13日(火)
 村上緑子は新宿署の警部補。防犯課の鮎川慎二巡査部長とともに、少年のレイプシーンを撮影した裏ビデオを捜査し、二人の被害者を特定したが、二人とも死亡していた。一方、晴海に浮かんだ他殺死体の捜査から、そのビデオのマスターテープが見つかり、警視庁との合同捜査本部が置かれることになる。警視庁から来たのは、緑子のかつての上司安藤警部と直属の上司だった高須警部補だった。捜査を進めるうち、被害者の共通点がわかったという連絡を入れたまま、鮎川が殺害されてしまい、緑子も痴漢を装った男たちに襲われる。
 緑子は高須と交際しつつ、安藤とも付き合っていて、高須からのレイプ、安藤の妻からの傷害を受けて、新宿署へ配転されていたのだった。緑子は今では奔放な女になっていて、鮎川と付き合うとともに、交通課の麻里とも同性愛の関係にあった。そして、再開した安藤や高須とも再び関係を持つことになるのだが、どうもこの辺の描写が余分だなと思いながら読んでいたのだが、最後まで読むとこれが 登場人物のキャラクターの描写だけでなく、事件そのもののキーポイントになっていたんだということがわかる。
 「新宿鮫」の女版という感じでもあるし、ハードボイルドのような、本格ミステリーのようでもある。