清涼院流水

コズミック ジョーカー    
 

コズミック 2010年12月15日(水)
 マスコミ、警察に、今年1200個の密室で1200人が殺されるという、密室卿なる人物からの犯罪予告状が送られた。そしてその直後から、密室状況で一瞬のうちに首を切られ、背中に被害者自身の血で「密室○○(番号)」と記されているという事件が、毎日3件ずつ起こる。著名な作家、人気歌手も被害にあい、ついにはJDC日本探偵倶楽部の本部でも探偵が殺された。そして、JDC本部に、幻影城の事件で亡くなった推理作家濁暑院溜水の名で、「1200年密室」という原稿が届く。そこには、平安時代と江戸時代に同じように起こった連続密室殺人事件と、今進行しつつつある事件が描かれていた。
 初詣の雑踏の中ならいざ知らず、スカイダイビングの最中とか首を切られて生まれてくるというのは、まったくの不可能犯罪。となれば、超常現象かやらせしかあり得ない。前半の事件進行の部分は、実は「1200年密室」の人物名を現実に置き換えたものであり、そこから何か読み取ろうとすることはできない。それにしても、言葉遊びが多過ぎるし、「ジョーカー」の「源氏物語」同様、卑弥呼や曹操までいく必然性はまったくないように思える。「コズミック流」、「ジョーカー清」、「ジョーカー涼」、「コズミック水」に読むというのも、キーとなる濁暑院溜水が「ジョーカー」で紹介されていたり、鮎川哲子警部、「慎みの輪」が共通して出てくるということぐらい。そういう意味では、単純に発生順に「ジョーカー」、「コズミック」の順に読んだほうが良かったかもしれない。ただ、JDCの探偵たちのキャラクターはユニークだし、被害者の名前にミステリー作家のもじりが次々登場したりするのもおもしろかった。

ジョーカー 2010年12月11日(土)
 大富豪・平井太郎が京都府押田市の近郊、美奈湖の小島に建造した幻影城、そこでは関西在住の推理作家の団体「関西本格の会」の秋合宿が行われていた。朝食の席に姿を見せない二人の作家が、それぞれ密室状態で異様な姿で殺されていて、ドアには「聖なる眠りにつく前に、我は八つの生贄を求める。すべては、(華麗なる没落のために)。芸術家(アーティスト)」と書かれた紙切れが貼ってあった。居合わせた犯罪捜査のエキスパート集団JDC第二班の探偵螽斯太郎や警察が捜査と警備にあたり、さらにJDCから第一班の探偵が派遣されるが、それをあざ笑うかのように芸術家による完璧なまでの密室殺人が繰り広げられていく。
 トリック、殺人手法、言葉遊びが山のように現れる。探偵たちもアーティストとの言葉遊びに引きずられて、本筋からどんどん遠ざかって行ってしまう。作品自体の結末もあいまいで、ほとんど芋のない言葉遊びばかりで、肝心のアリバイや動機といったものがまったく考慮されていない。本格ミステリーというよりは、ドタバタメタミステリーという感じだ。