澤村伊智

などらきの首      

などらきの首 2024年7月26日(金)
 「ゴカイノカイ」:雑居ビルの五階だけが入居者に短い期間で解約されている。不動産屋に”鎮め屋”に頼んだが、<痛い>という声が聞こえて、殴られたような痛みに襲われた。行き付けの居酒屋の女将にヒガという女性を教えられた。
 「学校は死の匂い」 :雨の日の体育館で声と物音がしたと、比嘉美晴は助けを求められた。実際、白い女子の姿が見えて、名前と詫びの言葉と足音、落ちる音がした。
 「居酒屋脳髄談義」:俺はいつものように居酒屋で部下二人と牧野晴海をからかい侮辱していた。しかし今日の牧野は理路整然と反論してきた。
 「悲鳴」:怪談が伝えられる大学近くの山で、映画同好会がホラー映画を撮影していたが、悲鳴が聞こえたと言いだして中断し、その後先輩が殺された。
 「ファインダーの向こうに」:オカルト雑誌で怪現象が起こるというスタジオで撮影すると、データの中に関係ない風景が映っていた。
 「などらきの首」:などらきの首という伝説がある祖父母の住む村で、友人が小学生時代の謎体験を解き明かしてくれるが。
 霊能者比嘉姉妹シリーズの短編集。「ゴカイノカイ」、「学校は死の匂い」は比較的論理的なミステリー、「 居酒屋脳髄談義」と「などらきの首」は純然たるホラー。「学校は死の匂い」は日本推理作家協会賞受賞作。シリーズものらしいから、第1作を読んでみたい。