佐藤究 |
QJKJQ | テスカトリポカ |
QJKJQ 2018年11月3日(土) |
市野亜李亜は殺人鬼一家の女子高生。不動産の仕事をしている父の桐清は犠牲者の血を抜いて殺し、母の紀夕花はシャフトで殴り殺し、引き籠りの兄浄武は鋼のマウスピースで噛み殺す。我が家には殺人の専用部屋があるが、亜李亜は外で鹿角で作ったナイフで刺し殺す。ある日、兄が部屋でパン切りナイフでめった裂きにされて死んでいた。そして次の日、母が姿を消した。父を疑った亜李亜は家を出て、パン切りナイフを使った殺人事件を調べて、その現場へ行く。 殺人鬼一家などというあり得ない設定が成り立つのは、折原一の作品によくあるパターンの状況だ。なるほどそういうことかと思うが、後日譚(?)も意外でおもしろかった。江戸川乱歩賞受賞作。 |
テスカトリポカ 2025年4月15日(火) |
メキシコ北西部の町に暮らす十七歳のルシアは、兄が麻薬カルテルに殺されたことから、町を逃げ出して南を目指す。アカプルコで職を見つけ、同僚が日本へ行くというので、ルシアも日本にたどり着き、ヤクザと暮らしだしてコシモを産むが、麻薬におぼれていく。コシモは大男に育ち、衝動から父と母を殺してしまう。メキシコ北東部の麻薬カルテルを仕切っている四兄弟が対立するカルテルのドローン攻撃にあい、一人生き残ったバルミロは南へ逃れて、ペルー人に成りすましてジャカルタにたどり着く。バルミロは臓器ブローカーのタナカ(末永)と知り合い、心臓移植ビジネスを始めることにする。日本の暴力団が無戸籍児を集め末永が心臓を摘出し、中国・インドネシアの組織が豪華客船に密かに作った手術室で移植する。バルミロは日本に渡り、殺人集団を組織し始め、少年院を出たコシモと出会う。バルミロは祖母からアステカ帝国の神話を教え込まれ、それをコシモにも父として教えていく。 ノワール物、クライム物と呼ばれるそうだが、この手のものは性に合わないし、拷問・虐殺場面が残虐すぎる。あまりに現実離れしているから、なんとか最後まで読めたのかもしれない。最後は救いはあったかもしれないが。アステカについての記述が多すぎて、特にラストはいらないと思う。直木賞、山本周五郎賞受賞作だが、即処分。 |