佐藤賢一

王妃の離婚      

王妃の離婚 2004年7月26日(月)
 1478年、パリ。フランソワはパリ大学法学部の優秀な学生。家庭教師の教え子ベリンダと同棲しているが、当時の学生は修道士であり結婚は許されない。20年後、国王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して離婚訴訟を起こす。地方の弁護士になっていたフランソワはその裁判を傍聴する。フランソワを今日の境遇に陥れたのは王妃ジャンヌの父ルイ11世であり、その娘ジャンヌは復讐心の対象だったのだが、不正な裁判への憤りと不思議な縁から、ジャンヌの弁護士を務めることになる。
 中世フランスの歴史小説というと堅苦しい感じがするのだが、実際は本当にそうなのかなと思うくらい男女のやりとりも法廷の様子も下劣で過激。西洋史へのかなりの知識と想像力がないと書けないだろうなとは思ったが、読んでいるとようするに西洋版時代小説。大岡越前のつもりで読んでいればいいのだ。すごくておもしろくて、くだらないけどおもしろい。直木賞受賞作である。