笹倉明

遠い国からの殺人者      

遠い国からの殺人者 2007年8月8日(火)
 警視庁に女の声で110番通報があり、西新宿のマンションで借主の木山浩が胸を指されて死んでいた。金髪の女性が同居していたらしく、木山の立ち回り先を捜査するうち、ストリップ劇場の踊り子という身元が判明する。岩上龍一が池袋で開いているジャズ・バーにある夜、追われているらしい金髪の女性が飛び込んできた。事情もわからぬまま部屋にかくまうことになったが、新宿の殺人事件の容疑者であることがわかり、警察も迫ってきたが、部屋に捜査が入ると逃げた後だった。先輩のダンサー渚のはからいで偽造パスポートを入手して国外へ脱出しようとした彼女は、飛行機が飛び立つ寸前逮捕されてしまう。岩上は友人である赤間愛三に弁護を依頼した。彼女は、アメリカ人という建前で実はコロンビア人ということで働いていたが、実際はフィリピン人だった。赤間は、渚や劇場の照明係だった綿谷四郎に会って、そうした事情の背景を知っていく。
 直木賞受賞のミステリー。ただ、直木賞作家としても、ミステリー作家としてもまったく知らない存在だった。当時話題になっていた「じゃぱゆきさん」を取り上げて、社会性、ヒューマン性が評価されたのかもしれない。おもしろいといえば、おもしろい。ミステリーとしては、最後の最後裁判官の判決におもしろさがある程度。