坂木司

青空の卵      

青空の卵 2009年11月15日(日)
 「夏の終わりの三重奏」:スーパーで出会った女性は美人だがヒステリックだった。そして、街では女性が男性を襲うストーカー事件が頻発していた。
 「秋の足音」:駅で手助けした盲目の青年をまた見かけて着いて行くと、もう一人あとをつけている女性がいた。
 「冬の贈りもの」:以前知り合った歌舞伎役者の助六のところへ妙な贈りものと手紙が届くようになった。
 「春の子供」:駅前でじっと立っている子供に声をかけると、まりおと名乗るだけで何も話さなかった。持っていた住所のところへ行くが、誰もいなかった。
 僕坂木司は、中学以来の友、今はひきこもり状態の鳥井真一をなんとか外に出そうと、毎日のように彼のもとへ通っている。鳥井は料理が趣味なので、その恩恵にもあずかっている。そして、鳥井は僕が出会った人たちの妙な出来事を鮮やかに解決してみせる。
 いわゆる「日常の謎」ものにひきこもり探偵を組み合わせたもので、一種の共依存関係にある二人の心の物語でもある。純情な坂木が涙を流し過ぎるのが少女小説っぽいのだが。