坂上泉 |
インビジブル |
インビジブル 2024年7月21日(日) |
昭和二十九年大阪市、旧造兵廠跡地の三十八度線と呼ばれる空き地で遺体が発見された。衆議院議員北野正剛の秘書宮益義雄で、腹部を刺され顔に麻袋をかぶされていた。最初に駆けつけた大阪市警察庁東警察署の巡査新城も捜査本部に呼ばれる。被害者が代議士秘書ということで捜査二課が加わり、国家地方警察大阪本部警備部からも捜査員が派遣された。さらに右翼団体の代表が同じように麻袋をかぶされて轢死体で発見された。中卒の巡査新城は、帝大卒東京出身の国家警察警部補守屋とコンビを組んで捜査することになる。 事件の背景が明らかになるにつれて、犯人は誰なのかという謎が残る。戦前の満州、シベリア抑留、そして戦後の大阪が描かれ、さらっと恋愛模様が描かれたりしておもしろい。デビュー2作目で直木賞候補となり、日本推理作家協会賞、大藪春彦賞 を受賞した力作。 |