斎藤綾子

ルビーフルーツ      

ルビーフルーツ 2003年9月5日(金)
 この作品は文学だろうか、それともただのポルノ小説だろうか。これは、文学とは何かという問いに答えることに近い。6つの短編ほとんどが、レズあり、SMあり、乱交あり、男はただの道具といった感じの強烈なポルノである。しかし、慣れてくると文章も端正だし、ストーリーもおもしろい。どの作品もラストにひねりがきいている。
 文学といっても芥川賞系(いわゆる純文学)、直木賞系(通俗文学と呼ばれていた)などとあるわけだが、名前こそ文学とついていても、いわゆる文学というのは純文学だけ。しかしつまらない芥川賞受賞作が多い中で、感動する直木賞受賞作も多い。
 最後の「神々の熱い夜」は、特にミステリアスで印象的な作品だ。何を書こうと小説は小説である。言葉の術としての文学ということでは、楽しめた作品である。捨てないで良かったと思う。それにしても、女性が読んだらどんな感じ方をするんだろう。